「労働組合からも辞めろ、議会からもメディアからもそして最後は副知事からも辞めてくれと言われて本当に最後は独りぼっちだった。だけどやっぱり僕は辞めるわけにはいかない」

 黒山の人だかりの中心でマイクを持つ手に力を込めたのは、斎藤元彦前兵庫県知事(46)だ。

街頭演説には聴衆が殺到

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斎藤氏の再選可能性が上がった“ワケ”

 県議会から不信任を全会一致で突き付けられた斎藤氏。“出直し知事選”には稲村和美前尼崎市長や清水貴之前参院議員らが相次いで出馬表明した。四面楚歌でスタートしたかに見えた選挙戦だが、斎藤氏はムーブメントとでも呼ぶべき人気を巻き起こしているのだ。背景には何が――。

「県議会最大会派の自民党で、“内紛”が起きたんです」(自民党関係者)

 自民党兵庫県議団は知事選で独自候補を立てず、自主投票の方針を決めるとともに、斎藤氏への支援禁止を打ち出したのだが……。

「最も有利と目されたのは連合兵庫などが推す稲村氏。自民県議のうち一定数も稲村氏を支援すると見られた。これに明石市議会の自民会派が猛抗議し、事実上の斎藤氏支援の姿勢を見せた。すると後日、今度は自民党神戸市議団が維新と相乗りして清水氏を支援すると表明したんです」(同前)

 県議団と各市議団がバラバラの方を向いてしまった。

「反斎藤票が稲村氏に集まらないようにという工作でしょう。いずれにせよ、過去最多7人の候補が立ったことで票が分散し、斎藤氏の再選可能性が上がった。具体的な政策議論はほとんど交わされず、政局や思惑ありきの選挙戦になっている」(県政担当記者)

 雑音も大きい。