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ーー民間の医療保険には。

アンナ 入ってました。19年ぐらいお金を払ってました。なんとなく、外資系と国内の保険に入っていて。だけど、今回のことで5つぐらい保険に入っておけばよかったなって。「がん保険とかいらない」と言う人もいるんですけど、やっぱりいるよ。

 保険って、病気にならないとわからないところがあるんですよね。自分の病気が、その保険に適用されるかどうかってのが。病気になって「入っておけばよかった」ってなる。

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 私の小葉がんって、乳がんの5%っていう希少がんで。片方の保険では適用されていたけど、もう片方は希少がんだったのもあって適用されてなくて。保険の効くがんだってわかったら、保険の種類にもよるけど一時金で100万円出ますとかなるし。いま、「がんになったら200万円の一時金」ってCMをやってて、それを見て「ああ、そっちに入っておけばよかったな」みたいな。

 

大きな病気をすると、価値観が一変して、考え方がお掃除される

ーー病院はどういったところに。

アンナ 築地の国立がんセンターなんですよ。私の父も、そこでがんを治療していて。「なんか、パパと一緒のところに行くことになったんだなあ」って。それもあって、お気に入りなのね。私立の病院には、行く気があんまりなかったんだよね。だって、値段がぜんぜん違うんだもん。有名な私立病院だと、駐車場の料金だけでも4,000円とか行っちゃうんですもん。それに私は治療が長くなるし、そうなるとお金も掛かるわけだから、「ああ、国立でよかったな」みたいな。

ーーがんになって、お金の使い方にも変化が。

アンナ 変わりましたよ。ブランド物とか買わなくなったもん。「ブランド物を買うんだったら、抗がん剤に回そう」みたいな。やっぱり、欲しいブランドの上着とか気になるけど、見るだけにしておこうとか。

 大きな病気をすると、価値観が一変するんです。うちのパパも言ってた。「あんなに銀座で朝まで飲み歩いてたのに、女の人が大好きだったのに、がんになって、家族が一番っていうふうに優先順位が変わっていく。付き合う人まで変わっていく」って。ある意味、考え方がお掃除されるので。

 いままでだったら素通りしていたものに、一回立ち止まって「ありがとう」とか言っちゃったりとか。1日1個いいことしようとか、「雲がこんなにきれいなんだ」とか(笑)。そんな感じになりましたね。

写真=鈴木七絵/文藝春秋