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タイで助け合い強まった夫婦の絆

――結婚後すぐにタイに移住されたんですよね。そもそも海外生活をはじめるきっかけは?

長谷川 日本の経済が悪過ぎたので、このままここにいてもね、というところがありました。私も夫もパソコンと携帯さえあればどこでも仕事ができたので、だったら海外に住んでみよう、ということでタイに移住したんです。

――タイには縁があったんですか?

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長谷川 まったく。ただ、夫の病気の関係で3ヶ月に一度は帰国しなくちゃいけなかったので、東南アジアのどこかにしようというところから、消去法でタイに決まりました。

――海外生活によって夫婦の絆が強まった?

長谷川 それは間違いないですね。海外に行ったものの、2人とも現地の言葉も分からず、ツテも頼る人もいないから、本当に2人きりじゃないですか。助け合う以外なかったんですよ。

――ケンカとかもなく?

長谷川 そんなことないですよ。私は更年期の症状もあり、機嫌が悪いこともよくあって。それでもタイで頼れる人は彼しかいないから、ひたすら話して解決する以外なかったんです。

 お互い価値観が違うから、それを認め合ったり、「ここは私が直すけど、ここはあなたが直してね」「ここは譲れないから目をつぶろう」みたいな話をして。そうして向き合う中で、「私は愛されない存在だ」という思い込みを外すことにもなった10年間だったと思います。

 できれば私が彼より先に死にたいですね。それで彼には、私の骨を全部砕いて粉にして、プロテインみたいに飲んでほしいな(笑)。

写真=石川啓次/文藝春秋

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長谷川普子さん Instagram(https://www.instagram.com/hirokimonon/

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