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エゴサ好きな私もSNSの反応が怖くなり……

『問わず語り』に出て、事の重大さに気づいたのは収録を終えた後だった。

 いや待てよ。冷静に考えたら私もめちゃくちゃ『問わず語り』が好きだし、伯山さんがラジオでやってることってすごく特殊だし、鬼のように耳の肥えてるリスナーしかここにはいない。

 なんで私、普通に出るって言っちゃったんだろう。これでコケたら、せっかくオファーしてくれた伯山さんの顔も潰すことになっちゃう。

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 エゴサして「今日は伯山さんじゃないなら聴くのやめようかな」という書き込みも見てしまったから放送が気が気じゃなくて、いざ始まったらさすがにエゴサ大好きな私も、SNSでの反応を見るのが怖くなってしまった。

 でもオンエア中にどんどん、「待てこいつ誰だ」「面白いじゃないか」って書き込みがばーっと出てきた。1割くらいは「今日面白くない」「若い子が頑張ったくらいの完成度だろ」みたいな意見があったけど、9割方の人は優しくて受け入れ態勢になってくれて、それが本当に嬉しくて救われた。

 実際にネットだけでなく、業界の方々にもすごい反響で、それがいまのラジオのレギュラーに繫がっている。

ラジオのおかげで人生が変わった

 伯山さんは、「上の世代の人間は、下の世代の子たちをどんどん世に出してあげなきゃいけない、それがやるべきことなんだ」って、いつもおっしゃっているんだけど、まさにそれをやっていただいた。

 その頃、私の知名度なんか本当にないし、 誰がアンジーのことを知ってるんだよくらいな感じだったけど、当時から「Gacharic Spinを一人でも多くの人に広めたいからメディアに出る」というスタンスでやってきた。

 伯山さんも「講談を広めたいからメディアに出る、自分がメディアに出て少しでも気になってくれた人を講談に引っ張り込みたい」と考えてる人。そのスタンスの部分で伯山さんが共鳴してくれて、「アンジーのためにやれることをやりたいから」と代役で指名してくれたらしい。

 ありがたすぎる話。

 そして実際にここから、大げさでなく私の人生は変わっていった。

 ラジオをやってきて、バンドとの相乗効果が出てきているのがいちばん嬉しい。

 ラジオが好きな方って熱い方が多い。他のメディアに比べて、姿は見えないのに距離が近いし、がっと集中して好きになってくれる。伯山さんに、「ラジオを大切にした人が出世する」と言われたこともすごく心に残っている。

 ラジオからバンドのファンに繫げるのは難しいかも? と思っていた時期もあったけど、その伯山さんの言葉をずっと大事に嚙みしめながら向き合ってきたら、リスナーの方がライブに来てくれるようになったり、CDを買ってくれるようになった。

 ラジオの仕事は大好きなので、今後も改編期を絶対に乗り越えて、ずっと続くといいな。

すばらしい!! 日々!

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アンジェリーナ1/3

文藝春秋

2024年12月5日 発売