澤井 私は神林(伸太郎)チーフプロデューサーに「とにかく読んでみてください」と、本をいただいたのですが、すごく面白くて、すぐに「ぜひ(脚本を)やらせてください」という感じで。そこからドラマのプロットに急いで取り掛かることになりました。
伊与原 皆さんが原作を大切にしてくださっていたのは、最初からとても伝わってきました。神林CPが「この原作の良さを余すことなくドラマにしたい」とおっしゃって、まず「本当にここだけは譲れないっていうポイントを教えてください」と聞かれたことで、それだったら全面的にお預けして大丈夫だろう、と。
僕がそのときに伝えたのは、科学部の部員たちの属性は自分なりにすごく考えたものなので、それだけは変えないでほしいということです。あとは「追加キャストとかは全然大丈夫です」と言ったんですが、結果としてドラマの登場人物たちも、原作では出番が少なかったキャラクター、たとえば第5話の麻衣(紺野彩夏)のように、書かれていない部分を膨らませていただいた感じでした。
これまでの学園ものになかったミステリアスな教師像
澤井 原作は7章構成で、ドラマは10話です。単純に1章1話としていくと3話足りないのですが、原作は科学部が出来てから目標となる大会までの1年間の物語として描かれていて、目指す場所もしっかりと設定されています。科学部メンバーのキャラクターも魅力的で、それぞれに深掘りされているので、伊与原さんの小説からさまざまにイメージを広げることができました。
主人公の藤竹のキャラクターについては、スタッフみんなで苦労した部分はありますけれど、自分が「もっと見たいな」とか「もっと知りたいな」といったところを膨らませていった感じで、すごく楽しく書かせていただきました。
伊与原 これは若干、澤井さんに失礼かもしれないんですけど……脚本を読んだ担当編集者からは、よく「伊与原さんが書いたみたいですね」って言われて(笑)、本当にそう感じるくらい、ナチュラルな膨らませ方でした。アンジェラと家族の会話ひとつとっても「ああ、そうなんですよね。アンジェラはそういう家族なんですよ。小説には書かなかったけど」という感じで。佳純の姉の円佳(伊礼姫奈)の関わり方も、僕とはアプローチが違うんですがとてもいいと思ったし、原作にはない要が弟とゲームをする場面も泣けました。