千葉県の房総半島を訪れた時のこと。探索仲間が「ダム湖の畔に変わった神社がある」と教えてくれた。何やら、断崖とダム湖の間に無理やり建てられたような神社だという。気になった私は、早速現地に向かった。

 地図アプリで調べると“八雲神社”として登録されている。目的地に設定し、ナビに従って車を進める。三島ダムに近づき、左折して狭い道に入ると、いきなり小さなトンネルが現れた。

県道から左折すると、いきなりこのトンネルが現れる

 普通車でギリギリのサイズ感で、入り口には“この先行止りにつき通り抜け出来ません”と書かれた看板も設置されている。

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車幅ギリギリのトンネルを進む

 しかし、目的地はこの先だ。慎重にトンネルに入ってゆく。トンネルの入口はコンクリートで補強されていたが、内部は掘ったままの素掘りの状態だ。

コンクリートで巻かれているのは入口だけで、その奥は吹き付け、さらに奥は素掘りの状態になっていた

 一般の人なら進むのを躊躇するかもしれないが、私は道が好きで趣味として全国のトンネルを訪ねている。わくわくしながら、車幅ギリギリのトンネルを進む。

 ここで、あることに気づいた。このトンネルに見覚えがあった。以前に来たことがある場所だったのだ。前回、なぜここに来たのかは、この先に答えがある。

 狭いトンネルをゆっくり走っていくと、いきなり道が見えなくなった。トンネルが右に大きくカーブしているのだ。いや、カーブというような生やさしいものではなく、トンネルがほぼ直角に曲がっている。それも狭小な道幅しかなく、ゴツゴツとした素掘りのトンネルだ。

トンネル内で直角にカーブしている梅ノ木台1号隧道

 この世にも珍しい直角に曲がるトンネルを10年ほど前に見に来たことがあった。

 意図せず再訪する形となったが、懐かしみながら進み、直角にカーブするトンネルを抜けた。目的の神社はこの先にあるというが、前回来た時に神社を見た記憶はない。いったいなぜだろう。