直角に曲がるトンネルの先にはすぐにまたトンネルが…
「本当にこの先に神社なんてあるのかな?」と思いながら走っていると、地図アプリのナビは「まもなく右方向です」と指示を出す。
すると、すぐにまたトンネルが現れる。見た目のサイズ感は先ほどと同じだが、坑口も内部も掘ったままの素掘りの状態で、コンクリートなどで固められていない。
1つ目のトンネルと同じで、100メートル足らずでトンネルを抜ける。その先もずっと一本道で、ナビのいう右方向へ分岐する道が見当たらない。
おかしいなと思ってナビを確認すると、明らかに分岐地点を行き過ぎていた。
「え? 分岐なんてなかったよな?」
疑問を抱きながらもUターンする。今度はナビの画面をこまめにチェックしながら、来た道を戻る。
2つ目のトンネルの手前で、神社への分岐地点が近くなった。いや、この距離感は明らかにトンネルの内部で分岐している。しかし、トンネル内で道が分岐していれば目立つので、見落とすはずがない。
どういうことだろうかと不思議に思いながら、再びトンネルに入る。トンネル内をゆっくり進んでいると、驚くべきことに分岐があった……! なかったはずの分岐路が、確かにあったのだ。
といっても、分岐する道はとても小さく、車では絶対に入れない。人がギリギリ歩けるほどの大きさしかなかった。
また、分岐はトンネルの中央付近にあるのだが、本線に対してやや斜めになっており、来た方向からは発見が非常に難しい。そのため、見落としてしまったのだ。そもそも車で行けると思っていたので、小さな分岐路は意表を突かれた格好だ。
すぐにでも車から降りて神社に行きたかったが、道幅が狭く車を停められるようなスペースがない。
1つ目のトンネルも抜けて広いスペースに車を置き、徒歩でトンネルに入る。分岐地点まで戻ってきたが、改めてその異様さが際立っている。
現代においては、自動車が通行可能な掘ったままの素掘りトンネルというだけでも珍しい。地層がはっきりと見て取れる、惚れ惚れとする素掘りトンネルだ。その内部において、人が歩けるだけの小さなトンネルが分岐している。分岐する小さなトンネルもまた素掘りだ。