先天性四肢障害で、生まれつき右手首から先がないギタリストのLisa13(29)。

 東京パラリンピックの閉会式のステージに立って注目された彼女に、パラリンピック閉会式出演の経緯、障害者に向けられる偏見などについて、話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)

義手ギタリストのLisa13さん ©山元茂樹/文藝春秋

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パラリンピックの閉会式で演奏した経緯

――東京2020パラリンピック競技大会(開催は2021年)の閉会式で演奏しましたが、どういった経緯で出演を。

Lisa 私のInstagramに、知り合いの知り合いでキャスティングの仕事をやってる人からDMが来たんですよ。「◯月◯日の◯時ぐらいに、都内でライブみたいのをやるんですけど、ギター弾きませんか?」って。

 でも、「パラリンピックが」みたいなのは一切伏せられていて。で、やり取りして出ることになったと。

――国立競技場のステージは、Lisaさん史上最大規模になるわけですか?

Lisa 最大級は最大級ですけど、コロナのアレで無観客だったんですよ。でも、選手のみなさんがステージ下にバーンといっぱいいて「イエーイ!」ってやってくれて、めちゃくちゃ盛り上がってましたね。

 

パラリンピックがきっかけで、障害当事者からの認知度が上がった

――閉会式のステージに上がったことで、かなりの注目が。

Lisa 集まったとは思いますよ。それまでは私の窓口って音楽とファッションだけだったんですけど、障害当事者やそういったコミュニティの方からのフォロワーが増えて「そうか、こういう窓口もあるよね」って。欠損バーで働いてたけど、自分の欠損のことって意識してなかったに等しかったので。

――注目されたことで、そう意識せざるを得なくなった。

Lisa 「こういう人たちにも発信していけたらいいよね」っていう意識は芽生えましたね。といっても「自分も障害者だから」という気持ちはまったくないし、「障害のある人たちを救おう!」とかものすごく大きなものでもなくて。

 私が好きなものに興味を持ってくれたり、「ギターを始めたい」って子がDMを送ってくれるんですけど、そんなふうに障害のある人たちにも、「これ、やってみよう」とか思えるきっかけを生むことができたらいいなと思っています。