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「F-14を表紙にした号は通常時の平均部数の1.5倍は必ず売れる」

 このスター性を背景に、世界中の模型メーカーもまた、F-14のキットを新規に発売し続けています。

 こまかな形式の違いや塗装のバリエーションを再現したものを数えればキリがなく、たとえばRX-78ガンダムのようにまったく新しいフォーマットのプラモデルをイチから開発するようなケースを数えても、1/72スケールではおよそ20回、1/48スケールでは10回以上、「発売されるだけでも大事件」と言われる1/32スケールでも3度プラモデル化の機会に恵まれました。

日本唯一の飛行機模型専門誌「スケールアヴィエーション」の最新号表紙もF-14(タミヤ 1/48)

 飛行機模型専門誌隔月刊『スケールアヴィエーション』(大日本絵画 刊)によれば、「F-14を表紙にした号は通常時の平均部数の1.5倍は必ず売れる」とのこと。これは飛行機模型マニアだけでなく、より多くの人の目に留まる戦闘機だからこそ起きる現象でしょう。

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 これを裏付けるように、大手模型メーカーのハセガワからは1/72スケールだけでも1977年生まれの製品と1988年生まれの製品が現在も常時模型店の棚に並ぶよう販売されています。古いものは廃版にし、新しいプラモデルだけを売れば良いようにも感じられますが、「ベテラン飛行機模型ファン」が高価でパーツ数の多い88年製のキットを買う傍らで「初めて飛行機模型に触れる人」が安価でパーツ数の少ないキットを選ぶことを想定し、あえて古いキットも併売するという戦略によるものです。

ゲーム『アフターバーナー』の主人公機もF-14だ セガ公式サイトより

 零戦やF-15、マスタングは名機ですが、F-14 トムキャットほど “広報”に成功し、文化的影響を与えた戦闘機は存在しません。戦闘機としての性能以上に、映画やゲーム、そして模型界を席巻し続けるその姿はまさに “飛行機プラモデル界の絶対王者”。いまのところ国内での累計販売数ではゼロ戦に及ばないかもしれませんが、トムキャットこそが「地球上でもっとも売れた飛行機プラモデル」として刻まれる日が来ることは間違いなさそうです。