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―― そういう意味では、キャストの過去の役も重ねて見るし、怪獣映画のパロディというのもそういう文脈で、新しい映画で、過去の怪獣映画の良さをまた観れる嬉しさがある。だから、河崎さんの映画って過去の映画史を知って観ないと良さは分からないだろうし、それで感動できるという映画ですよね。

河崎 サラッと見てると「なんだこの映画」と思うんだけど、きくちさんがどういう人かということを知ったら、なおさら面白くなるということでしょうね。そういう映画ばっかり撮ってるから。

日本のロジャー・コーマン?

―― プロレスの映画も何本かありますけど、怪獣映画と重なる部分があるんですかね。

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河崎 だって、怪獣プロレスって揶揄されたんだもん。『キングコング対ゴジラ』から、あなたもさんざんやったウルトラマンの戦いというのは、しょせんは怪獣プロレスじゃないですか。段取りがあってやってるみたいな部分であると。そういうのを考えると、いろいろやることはまだあるんじゃないかっていうね。

©藍河兼一

―― そうですね。河崎さんの自伝、ロジャー・コーマンの本と同じようなタイトルを付けてましたよね(注4)。

河崎 そうそう。『私はいかにして30年、一度も自腹を切らずに「電エース」を作り続けられたのか』という。

―― やっぱりロジャー・コーマンは意識しているんですか?

河崎 いや。ロジャー・コーマンはちょっとエログロも撮るじゃないですか。俺はお金がないロジャー・コーマンですね。

―― さらにお金がない(笑)。

河崎 あとは、才能のあるエド・ウッドですからね。そう言ってるんで。

―― なるほど。エド・ウッドに近い。

河崎 エド・ウッドは映画を撮る才能がないと思うんだよ。愛情はあるんだけど、技術はないと思うんだよね。俺は映画を作る技術はちゃんとある。そういう感じですよ。

注釈
1)山口幸彦 キングレコードのプロデューサー。
2)古谷敏 俳優。初代ウルトラマン役、『ウルトラセブン』のアマギ隊員役。
3)きくち英一 俳優、スタントマン、殺陣師。帰ってきたウルトラマン役。
4)ロジャー・コーマンは『私はいかにハリウッドで100本の映画を作り、しかも10セントも損をしなかったか』というタイトルの自伝を書いている。