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βは、あえて子どもを放置し危険な目に遭わせようなどとは思っていなかったはずである。しかし現実には命にかかわる重大事態の直前にまで至っていたのは、他ならぬ親の危険察知能力の乏しさゆえだと言わざるをえない。

こんな認知になるなんて考えられない、頭で考えたらわかりそうなものだ、と思うかもしれないが、認知というのはそんなことではなかなかうまくいかない。、認知の訓練を積まねばなかなか改善されず、また自分の認知の不足を補うための子育て技術を手に入れることが重要なのである。

橋本 和明(はしもと・かずあき)
国際医療福祉大学教授
1959年、大阪府生まれ。名古屋大学教育学部卒。武庫川女子大学大学院臨床教育研究科修士課程修了。専門は非行臨床や犯罪心理学、児童虐待。大学を卒業後、家庭裁判所調査官として勤務。花園大学社会福祉学部教授を経て現職。児童虐待に関する事件の犯罪心理鑑定や児童相談所のスーパーバイザーを行う。現在、内閣府こども家庭庁審議会児童虐待防止対策部会委員。公認心理師試験研修センター実務基礎研修検討委員。日本子ども虐待防止学会理事。日本犯罪心理学会常任理事。主な著書に、『虐待と非行臨床』(単著、創元社)、『非行臨床の技術-実践としての面接、ケース理解、報告』(単著、金剛出版)、『子育て支援ガイドブック-「逆境を乗り越える」子育て技術』(編著、金剛出版)、『犯罪心理鑑定の技術』(編著、金剛出版)、『子どもをうまく愛せない親たち 発達障害のある親の子育て支援の現場から』(朝日新書)などがある。