急勾配・急曲線に強く、まるでジェットコースターのよう
湘南モノレールの何よりの特徴は懸垂式、つまり車両が軌道からぶら下がっているスタイルにある。言い換えれば、ロープウェイがだいぶ立派になったもの、といったところだろうか。屋根上の軌道にゴムタイヤが引っかかり、それで前に進む構造だ。
この方式の何よりのメリットは、急勾配・急曲線に強いことにある。湘南モノレールも、最大で74パーミルという急勾配を登っている。一般的な鉄道の限界が20パーミル程度とされているから、なかなかのハイパワー。急曲線も半径50~100mほどで、およそ普通の鉄道では走れないところを走っている。
だから、実際に乗ってみると、急なカーブを曲がったりトンネルに入ったり、急な上り下りを繰り返したり。まるでジェットコースターのようだ。もちろんジェットコースターほどにはスリリングではないし、万全の安全も期されている(ジェットコースターも安全なんですが)。
だから、毎日のように乗っている人にすれば何のことはない普通の乗り物なのだろう。けれど、めったに乗らない人が江の島観光のついでに乗ったなら、アトラクションのひとつのような楽しみを得られるのではないかとも思う。高いところが大の苦手な筆者のような人は、ちょっと足がガクガクするんですけどね……。
湘南モノレールがアップダウンを繰り返しながら進んでゆく沿線は、丘陵地を切り開いた住宅地がほとんどだ。途中の小駅で降りてみると、朝の通勤時間帯は混みますよ、といった案内書きが掲げられていた。沿線風景ともども、江ノ電などとは違って江の島観光よりは通勤通学路線としての側面が強いのだろう。
湘南モノレール開業の大きな目的
湘南モノレールが開業したのは、1970年。大船~西鎌倉間で開業し、翌1971年には湘南江の島駅まで延伸して完成した。このとき、小田急の片瀬江ノ島駅前まで乗り入れる構想もあったという。ただ、その場合はすばな通りの上空を横切ることになり、商店街の反対もあって実現しなかった。
湘南モノレールの目的のひとつは、いうまでもなく江の島へのアクセス強化だ。加えて、すでに開発がはじまっていた沿線の住宅地の通勤通学の利便性を高めるという狙いもあった。
ただ、それ以外にももっと大きな目的もあったという。それは、懸垂式モノレールの“テスト”だ。