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 突然息子を連れて訪れた荻原さんに対し、母親は荻原さんのことも夫のことも責めることなく、快く迎え入れてくれた。

 しかし、パートの仕事をしていた母親をサポートするため、息子の世話をしながらも家事を荻原さんがやるようにしたが、夕飯を作れば「またこれ?」と文句を言われたり、朝8時までに起きないだけで「母親失格」とダメ出しされたりした。息子と家の中で遊んでいると「可哀想」と言われるので、公園に連れて行って遊んでいると、今度は「暑いのに可哀想」と言われるなど、何をしてもダメ出しや文句などのマイナス発言をされる。

「母の家に来てから1ヶ月半ほど経つ頃には、母から嫌味や文句を言われるたびに動悸がしてきて、今すぐここから逃げ出したい衝動に駆られました」

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 カウンセラーに相談すると、

「どう動いても結局怒られたり、嫌味を言われたりするのは、典型的なモラルハラスメントです。お母さんから離れたほうが良いのでは」

画像はイメージ ©AFLO

 とアドバイスを受け、荻原さんは別居から2ヶ月で夫のいる自宅に戻ることになった。

期限付き別居

 自宅に戻った荻原さんは、夫と話し合った。

 あれから冷静になった夫は

「離婚するつもりはない。11年も一緒にいたんだから、きみとの絆は簡単には壊れない」

 と言った。

 それなら再構築に向けてお互いに努力していくのかと思いきや、「12月まで別居しよう」と提案された。話し合いは8月に行われたので、4カ月先までということになる。

 夫は荻原さんと一緒にいると蕁麻疹が出るようになってしまっていたため、リハビリ期間が必要だったのだ。“ラブホテル目撃情報”から情緒が不安定になっていた荻原さんは、不安に駆られると夫の都合はお構いなく甘え、キスやハグ、時にはセックスまで強要していた。

「夫は不倫に関しては最後まで、『向こうから一方的に好意を持たれていた』と否定していました。でも、夫は義両親には本当のことを話していました。夫とは高校からの付き合いということもあり、義両親にはとても可愛がってもらっていたので、私も本当のことを教えてもらいました。不倫相手は10歳くらい年上の2人の子持ちの女性で、ジムで知り合ったようです。夫が不倫に走った理由は、私が怖くて、不倫相手に癒しを求めたから……。夫が円形脱毛症になった時は、不倫するか自殺するかという瀬戸際まで追い込まれていたのだと思います。私はそれでも自分が犯してきたことに気づかず、夫の小さな叫びを見逃し、モラハラをし続けました」

 不倫相手との関係は、ジムで夫が夫婦のことを女性に相談したのが始まりだったという。不倫に走るほど夫を追い詰めてしまったのだと自分を責めていた荻原さんには、夫の提案を拒否することはできなかった。

 夫は「先輩の家に居候する」と言って出て行き、荻原さんと息子が自宅に残った。