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 別居が決まってから荻原さんは、働きに出ることを決意する。

「夫は息子のことをとても可愛がっていましたが、夫に対して私がダメ出しをしまくるモラハラだったせいで家にいないことが多く、育児には協力的ではありませんでした。だから私は息子が2歳になる頃には、家事・育児がワンオペで問題なくなっていたんです」

 別居が始まってから夫は、2~3日に1回ほど自宅に帰ってきては、荻原さんと息子と1時間程度過ごすようになった。

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 荻原さんは外に働きに出ることと並行して、不機嫌になったりイライラしてしまう前に対処する方法をカウンセラーから学び、実践し始めていた。

「自分が不機嫌になったりイライラしてしまう時はどんな時なのかをノートなどに書き出して、そうなる前の兆候が現れたら、どう対処したら不機嫌やイライラを防げるか、楽しい気分になれるか、発散することができるかをいくつも考えておきました。例えば、睡眠が浅くなるなどの兆候が出てきたら、甘いものを食べるとか、仲の良い友だちとおしゃべりするなどして、兆候の段階で発散させてしまうという方法です」

 効果があったのか、母親の家に行っていた2ヶ月間を含め、自宅に戻ってから3ヶ月経ってもモラハラ的行動は出ていなかった。

「夫とは2~3日に1回、数時間一緒にいるだけなので効果が出ているか判断がしにくいですが、相手の意見に耳を傾けたり、折れる、謝る、束縛しないなどが、以前よりは確実にできるようになったかなと思いました」

あと100日

 ついに別居解消まであと100日となった日、荻原さんは離婚に向けて貯金を開始した。

 というのも、夫の言動が信じられなくなっていたからだった。

「家族として今後も頑張って行こうと決めて、『少しずつ一緒にいる時間を増やしていく』と何度も言ったにも関わらず、いまだに2~3日に1回来て数時間いるだけ。もう、夫に期待しないで、何があってもいいように“離活”をすることにしました」

 荻原さん夫婦は当時、お互いの収入を1つの通帳に入れて管理していたが、その時から息子の子ども手当と荻原さん自身の給料は、別通帳に入れることにした。

「私のほうは食費を1日500円で頑張っているのに、別居してから夫は、毎月8万円の生活費とは別に、私の許可なしで2万円も使っているので、馬鹿馬鹿しくなったのです。これからは、夫が勝手に使った額と同じだけ、私の通帳に入れることにしようと思いました」

 別居前、夫が有給休暇を取るのは半年に1回ほどだった。しかし別居してから夫は、毎月有給を取ってどこかへ出かけていることが、クレジットカードに紐づいているETC使用履歴からわかった。

「自分の息子を放っておいて、どこで何をしてるんだろうと呆れました。もしも離婚したら、私はこの家に住み続けて、母子手当や息子の養育費をもらって、今よりずっと楽な生活ができると思いました。でも夫は、月8万円の住宅ローンに、おそらく4万~5万円の養育費もあって……。そんな無計画な生活を続けていて、どうやって生きていくつもりなのだろうと思っていました」

 別居してから夫が好き勝手に使ってきた金額は、約50万円にのぼった。

「妊娠してから働いていなかったとはいえ、私が必死に守ってきたお金なので、私にも好きに使う権利があるはず。これもモラハラ発言かもしれませんが、『気がついた時に苦しめば良い』と思ってしまいました」

 そして4ヶ月が経ち12月に入った。

 別居期間解消が明後日に迫る中、自宅を夫が訪れた。