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「大切に決まってる。別居してから夫くんは、自由に野球したりフットサルしたり、ほしいものをたくさん買ってたよね? 今まで私のことが怖くて、やりたいことも欲しいものも我慢してたんだなってわかった。夫くんが病院に行くのさえぐちぐち文句を言ってたよね。本当に後悔してる」

 それを聞いた夫は少し考えている様子だったため、荻原さんは続けて言う。

「だけど、まだ私と一緒には暮らせないと言うならもうやめよう。私は大丈夫だから……」

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 すると夫は、「それなら、期限を決めずに、これからは一緒にいる時間を少しずつ延ばしていこう」と提案。

 荻原さんは複雑な気持ちになったが、了承するしかなかった。

「当時、夫が自宅に寄ってくれるのは2~3日に15分程度。別居を決めた時は、私と話をすると蕁麻疹が出ると言っていましたが、出る頻度は減ったと言っていました。カウンセリングで『過剰な愛情表現を控えるように』と指導され、あっさりするように心がけていたら、夫から頻繁に私の気持ちを確かめられるようになりました。誰だってモラハラ的な愛情は嫌でしょうけれど、あっさりしたらしたで、夫はわかりやすい愛情が欲しいタイプなのかなと思いました」

 とはいえ、別居生活が始まって約8ヶ月。その間、荻原さんは一度もモラハラをしなかったが、結果的に別居期間の無期限延長が言い渡されたのだった。

出会いと踏ん切り

 2019年1月。夫は12月に、「少しずつ一緒にいる時間を長くしていく」と言っていたが、自宅に来る頻度も、滞在時間もさほど変わりがない。荻原さんは、夫に対する信頼がさらに冷めていく自分に気づいていた。

「モラハラをした私が、先に悪いことをした。だけど、夫は『先輩の家に居候する』と言っていましたが、もしもずっと不倫相手の女性のところに入り浸っているのだとしたら、“ラブホテル目撃情報”の少し前からだとしても約2年間も不倫を続けていることになり、夫も悪いと思いました」

 荻原さんは覚悟を決めて、不倫の証拠を掴むことを決意。

「なんでこうなってしまったんだろうと思いました。だけどもう、やらなければ一生このままかもしれません。でも本当のことを知ってしまったら、本当に終わりになりますし……」

 翌日、友だちと一緒に別居中の夫が暮らしているアパートを見にいくと、ベランダに見慣れた夫の下着やシャツが干してあるのが見える。その横には女性の下着や衣服も干されていた。

画像はイメージ ©AFLO

 瞬間、けたたましいクラクションが鳴り響き、我に返る。友だちの車の中からアパートの様子を見ていたら、後ろから別の車が迫っていたのだ。

 慌てて友だちが車を動かすと、後ろの車はアパートの駐車場に停まり、中から派手めな30代半ばと思しき女性が出てきてアパートに入り、しばらくすると夫の洗濯物が干されている部屋の電気がついた。荻原さんは夫の不倫相手だと確信した。