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もういらない

 踏ん切りがついた荻原さんは、その日は帰宅。3日後に自分で調べた弁護士の無料相談に行き状況を説明した。しかし、

「不倫相手のアパートに夫が入る写真か、自白するか以外は証拠にならない」

 と言われ、愕然。

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「写真を撮るために探偵を雇うにはお金が莫大にかかりますし、その上弁護士費用だなんて、慰謝料をもらっても全部消えてしまいます。義両親か母に一緒に夫の部屋に乗り込んでもらうか、まずは夫と2人で話し合うべきか、悩みました」

 さらに荻原さんは、法テラスにも相談。すると法テラスで紹介された弁護士は、

「慰謝料300万円は請求できると思いますよ」

 と言った。

 ただ、「証拠は多い方がいい」とアドバイスを受ける。そこで荻原さんは、事情を知り、心配して来てくれた姉と一緒に、再び夫の滞在先のアパートへ向かった。

 すると今回は、夫や女性の洗濯物のほかに、小学生くらいの男の子と女の子の洗濯物が干されていることに気が付く。

 ショックを受けて帰宅した2日後、自宅に夫あての荷物が届いた。品名を見ると、「Tシャツ150サイズ」とある。

画像はイメージ ©写真AC

 荻原さんが開けてみると、紛れもなく150センチサイズの子ども用Tシャツだった。

「違うと信じたかったのですが、もうダメでした。『自分の大切な息子に会ったあと、他人の家族の元に帰る夫なんてもういらない』そう思いました」

 荻原さんは勤めている会社に、離婚に向けて夫と話し合うつもりだということを報告。すると社長から、「離婚するなら生活大変だろうし、9月から正社員にするよ」と言ってもらえた。

 さらに、当時荻原さんが仕事の日だけショートステイさせてもらっていた近所の保育園に、9月から空きがあることがわかる。

 準備を終えた荻原さんは、自宅に夫が訪れるのを待った。