大谷翔平がMLBで数々の記録を塗り替えるその約20年前、アメリカで一人の日本人男性がホットドッグ早食いにおける前人未到の記録を次々と打ち立てていった。小林尊(46)。「世界が尊敬する日本人100人」や「アジアの偉大なスポーツヒーロー」にも選出され、レジェンドフードファイターとして大食い界にその名を轟かせる。
2024年に惜しまれながら引退を決めた小林さんに、あらためて日本、そしてアメリカでの大食いの日々を聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)
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レジェンドフードファイター誕生のきっかけ
――小林さんはどういうきっかけで大食いという自分の才能に気づいたのでしょうか。
小林尊さん(以下、小林) はじめは遊び半分、力試し半分でした。大学の時に友だちと「誰が一番多く食べられるか」という話になりまして、当時CoCo壱番屋で1,300g食べたらタダになるというチャレンジメニューがあったので行ってみようと。
1,300gを食べ切ればタダになるんですけど、その時の全国の挑戦者の中で最高記録が5,000g。せっかくなら新記録を狙いたいなと思って、100gだけ増量して5,100gで挑戦したんです。
――それが最初の挑戦ですか!? すごい……。
小林 その5,000gって、当時の『TVチャンピオン』*全国大食い選手権のチャンピオンの記録だったんですよ。でも全く余裕はなくて、制限時間20分のところ19分40何秒でやっと食べ切るようなギリギリのタイム。もう気持ち悪くて二度やりたくないぐらいの感覚でした。
*1992年から2006年までテレビ東京系で放送されていた競技型バラエティ番組
でもそれがきっかけで当時の彼女が『TVチャンピオン』の大食い選手権に応募したんですよ。僕はそのことを全然知らなかったんですけど。それで『TVチャンピオン』に出ることになったんです。