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――お姉ちゃんが勝手に事務所に履歴書送っちゃうアイドルみたい(笑)。

小林 楽しんでいましたね、最初は。でもデビュー戦は、もう先輩方しかいないし、僕は当時普通の大学生で、テレビ自体初めてなので……。緊張もして、必死でした。

 決勝に残った3人のうち1人は前回のチャンピオン、もう1人は前々回のチャンピオン、そして初出場の僕。だから誰が勝っても連覇かリベンジか新チャンピオンということで盛り上がる。番組的にはどう転んでも成功だったんですよね。ただ、ディレクターからは「小林君は大食い界に新しい風を吹かせてください」って言われたのを覚えています。

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大食いはスポーツであると強調したかった

――そして初出場で優勝。大食い界に新しい風が吹いたんですね。

小林 僕が勝ったあと、決勝で戦った赤阪(尊子)*さんが「私と同じ『尊』の字を使うあなたは、次の時代を担ってくれるかもしれない」って言ってくれたんですよ。大食いの先輩やテレビスタッフたちには、大食いの世界を盛り上げていきたいという意識がすごくあることを知りました。こういう世界もあるんだなって、衝撃でした。
*「女王・赤阪」「飢えるジャンヌ・ダルク」と呼ばれ、1990年代に活躍した元フードファイター

――小林さんの中で「大食い」という世界に興味が出てきた。

小林 スポーツをやってるときと同じ感覚があるのがわかったんですよ。勝ったときの高揚感とか、試合前の緊張感とか、試合中の駆け引きとか。

『TVチャンピオン』の優勝後にスタジオで、「あなたにとって大食いってなんですか?」って聞かれて。そのときに僕は「生涯続けていきたいスポーツです」って答えています。初挑戦でしたけど、大食いがスポーツであることを強調したかったんです。

自分がフードファイトの未来をつくっていく

――それから小林さんは『TVチャンピオン』の常連になります。番組では「大食い界のプリンス」というニックネームがつけられますが、これについてはどう思われていたのでしょうか。

小林 プリンスというのは『TVチャンピオン』のレポーターをされていた中村有志さんがつけてくれたんです。「小林くん、決勝残ったからニックネームつけないとね」って言ってくれて。「アイドル小林とプリンス小林どっちがいい?」って。

 

――「ギャル曽根」の名付け親でもある中村有志さん。

小林 アイドルもプリンスもどっちも恥ずかしかったんだけど……。でもアイドルよりはプリンスの方が息が長い感じがして、「どっちでも嬉しいですけどプリンスでお願いします」って言いました。めちゃめちゃ照れありましたよ(笑)。