ここ日本における大食い番組は、1989年にテレビ東京で放送された『日曜ビッグスペシャル』の一企画までさかのぼる。

 30年以上にわたり、人気コンテンツとして親しまれてきた“大食い”は、数々の名フードファイターを輩出する。その1人が、“ロシアン佐藤”こと佐藤ひとみさんだ。

「大食いがキャッチーな存在に変わったことで、私も出場してみようと思ったんです」

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 きれいに、楽しそうに、完食する彼女は、自らを「ナチュラルボーン・ハングリーモンスター」と呼ぶ。大食い体質だと気が付いた経緯、ロシアン帽秘話、そして世代交代によって変化した大食いの空気感……我々が大食いに魅せられるのには理由があった。(全2回の1回目/続きを読む

ロシアン佐藤さん ©文藝春秋

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寒空の下、レンコンのはさみ揚げを爆食…

――ロシアンさんが、「人より食べることができる」と気が付いたきっかけは、何だったのでしょうか?

ロシアン 子どもの頃からよく食べるという自覚はあったものの、大会に出られるレベルという意識はなかったんですよ。でも、学生時代最後の夏休みに、同級生から「佐藤さんはめっちゃ食べるから、絶対大食いの大会に出たほうがいい」と言われ、そのまま応募フォームのURLを教えられまして(笑)。実際に、初めて出場した『元祖!大食い王決定戦』(2008年3月放送)の大阪予選で、他の選手よりもぜんぜん食べることができたので、「あ、私って食べれるんだ」って。

――『元祖!大食い王決定戦』をはじめ、もともと大食い番組は好きだったのでしょうか?

ロシアン めちゃくちゃ大好きで、欠かさず観ていました。『元祖!大食い王決定戦』はもちろん、子どもの頃に放送していた『フードバトルクラブ』も好きでした。なので、自分が番組に出場できたときは、ホントに夢みたいな感じでしたね。ただ、大阪予選が行われたのが2月。しかも、埠頭でレンコンのはさみ揚げをひたすら食べるという……食べ物は美味しいんですけど、とにかく寒かったんですよ。