Tシャツに書いた戦うためのメッセージ
――Tシャツにはなんて書いたのですか?
小林 「FREE KOBI*」と。最初僕は「SAVE KOBI」って書いたんですよ。おかしな状況から救ってくれ、という意味で。でもマギーたちは「そうじゃない、戦うんだよ」って、それで「FREE KOBI」になったんです。アメリカでは「やられました。助けてください」っていうよりは、大きな権力に対して戦いを挑むっていうほうが刺さるんだって。
*小林さんのアメリカでの愛称
マギー とにかくみんなに「Why?(なぜ?)」と思ってもらいたかったんです。でも、そのまま会場で逮捕されてしまって。「『FREE=逮捕から自由にさせろ』という意味に見えた。逮捕されることを計算していたのか?」と言われたこともあったけど、捕まるようなことをするつもりは全くなかった。
小林 もちろん逮捕されようと思って行動したわけではありません。せっかく会場に行って、ほとんどニュースにならなかったら寂しいな、とは思っていましたが……。
――逮捕後はどうなったのですか?
小林 留置所に一晩入って、そこからは裁判でした。
マギー 留置所も危険って聞いていたので、「どうか無事でいて」ってずっと祈っていました。眠れなかった。祝日だったから弁護士を探すのにも時間がかかって、なんとか見つけた弁護士からは、「コバヤシ⁉ あなたはホットドッグ早食いのチャンピオンなんでしょう? こんなバカなことで逮捕されないで」と言われました……。すごく力を尽くしてくれて、1ヶ月後の裁判で下された判決は、6ヶ月間の保護観察処分。
小林 期間中に問題を起こさなければ、犯罪記録も残さないという内容で、とにかくほっとしました。自分の行動で、たくさんの方に心配をかけてしまった。それからは何をするにも「これは大丈夫?」「法的に問題ある?」ってマギーと話し合いながら慎重に行動していましたね。
マギー 大変だったね。
ホットドッグの大会にあるナショナリズム
小林 でも戦い続けたかった。大会には出続けたかったので、契約が複雑じゃないカナダの大会とかにも出るようにしたんですよ。そうした中で、アメリカのホットドッグ大会がいかに特別だったのかに気づきました。
注目度が高い理由の一つが、「独立記念日に開催されること」。アメリカで最大の祝日で、ナショナリズムを一番感じさせる日なんですよね。そんな日にアメリカ人のソウルフードであるホットドッグを食べて、その数を競う。
――なるほど。アメリカ人がアメリカへの思いを新たにする象徴的な日に、日本人が勝利していた。