「AVの世界みたいだね」メディアで発信したあと、誹謗中傷の被害に…
――これまでのご自身の発信には、どんな反響がありましたか?
橋本 「これまでよく頑張ったね」「強いね、勇敢だね」という声が多かったです。同じような経験をしている方からは、「被害にあったのが自分ひとりじゃないとわかって、救われました」と言っていただきました。
一方で、母に対して批判的な言葉を浴びせる人もいて。関西のテレビで母と取材を受けたときに、「毒親」「なんで娘を守れなかったのに、この母親は笑っているの?」「こんな母親とは離れたほうがいい」とネットでコメントされたんです。
そのコメントに対しては、すごくモヤモヤしています。「あなたたち、私のお母さんのこと何も知らへんやん」って。断片的な情報だけで、私と母の関係性を決めつけられるのがすごく嫌なんですよ。
――ご自身に対する誹謗中傷はありますか。
橋本 それもあります。一番ショックだったのは、私が母の恋人から性的虐待を受けたことを「AVの世界みたいだね」と表現されたことです。
そういう設定のAVがあるんだろうけど、実際に被害に遭った人にそれを言える精神状態が怖いし、あまりにも配慮がなさすぎてゾッとしました。
「女性が誘ったんじゃないか」などと勝手に言い出す人も…
――ひどすぎますね。
橋本 性被害の報道もそうですけど、メディアが発信する情報は必ず削られている部分があるじゃないですか。その削られた情報の中に、被害者が「嫌だ」と言えなかった事情や、加害者に従わざるを得なかった状況、警察に被害届を出さなかった理由などがあったりする。
そういう前提を理解したうえで情報を受け取らなきゃいけないのに、それをわかっていない人が多い。テレビやSNSなどの一面的な情報だけで知ったつもりになるのは、あまりにも短絡的すぎる。
しかも、その情報だけを見て「女性が誘ったんじゃないか」「なんで家についていったんだ」「なんで抵抗しなかったんだ」「なんで警察に行かなかったんだ」と勝手に言い出す人もいて、意味がわからない。
何を思うかは自由ですが、自分が何を発信するのか、被害者にどんな言葉を届けるのかは慎重に考えてほしい。今の時代を生きる人が、必ず持っておくべきネットリテラシーだと思います。