「なんでこんなにも刑が軽いのか」日本の性犯罪の刑罰に思うこと
――セカンドレイプへの理解も低いですよね。
橋本 低いですね。性被害や性的虐待の報道が増えているのはいいことですが、せっかく勇気を出して声をあげた当事者が非難されたり、心ない言葉にさらされてしまう。
セカンドレイプやネットリテラシーについてもっとしつこく、多角的に発信しないと理解されないのかなと思います。「その発言はセカンドレイプですよ」「被害者にも事情があるんですよ。勝手に判断して発言したらダメですよ」って。
――性被害や性的虐待に関する報道が増える中で、「日本は性犯罪の刑罰が軽い」という声も増えています。
橋本 それは本当に思いますね。登校中の女子児童に性的暴行を加えた20歳の男性は、懲役6年6か月の判決でした。2歳の女児に性的虐待をした男性は懲役5年です。
被害者は人としての尊厳を傷つけられ、一生もののトラウマを背負って生きていかなければいけないのに、なんでこんなにも刑が軽いのか、私には理解できない。
個人的には、性犯罪を減らすために罪を重くすることも必要だと思うんです。刑罰が軽いことも、性犯罪が増えてしまっている要因ではないかと。
そういった日本の現状を変えて、性犯罪の少ない社会を作るためにも、当事者である私自身が問題提起をして、行動していこうと思っています。
性被害者への支援や性加害者の更生支援なども必要
――今後は、どんな取り組みを?
橋本 私は、今の日本社会に納得していません。今お話しした性犯罪の刑罰もそうだし、性被害者への支援や性加害者の更生支援なども、もっと必要だと思っています。性犯罪の刑罰に関しては法律を変えないといけないので、自分が政治の世界に入るか、それともそういうムーブメントを起こすか。
いずれにしろ、社会に一石を投じたいです。そのためにも今は、私自身の発信力や影響力を上げようと思っています。
――性被害者に伝えたいことはありますか。
橋本 まずは、生きていてくれてありがとう、と伝えたいです。性被害や性的虐待に遭うと、私自身もそうでしたが、感情がなくなってしまうんです。そして、生きることに無頓着になってしまう。それでもきちんと毎日息をして生活しているのは、本当に素晴らしいことなんです。
あとは、私のような当事者が声を上げている姿を見て、「自分も何か行動しなきゃ」と思う必要はありません。声を上げたりするのは、できる人だけがやればいいので。とにかくあなたは生きてるだけで100点満点だし、とても強い人だと思います。
撮影=山元茂樹/文藝春秋
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