サラリーマン生活を手放し、食の世界への転身は…

――サラリーマン生活を手放して、食の世界に転身されるおつもりは?

酒徒 それで食っていけると思うほど、甘い考えは持っていません(笑)。

――お仕事を受ける、受けないの基準はありますか。

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酒徒 プロの料理人の方みたいに明確な基準があるわけではないんですけれども、料理の仕事を受けるのであれば、本場の中華料理をそのままお伝えしたいっていうのが常にコンセプトなので、それができるかできないか、ですね。

西安の街角に点在する饃(モー、小麦粉の主食)専門店 『中華満腹大航海』(KADOKAWA)より 

 要は向こうで知ったもの、おいしいと思ったものを、そのままお伝えするというところでしか、プロでもない素人の僕の存在価値はないと思っていて。

――酒徒さんが思われる、「本場の中華料理」とは、どういうものでしょう。

酒徒 単純に言えば、本場の人がふだん食べているものなんですけれども。

 そのなかでも、どちらかというと今風の創作とか、高級食材を使った料理ではなくて、中国各地でそれぞれ昔から食べられていた、あまり気取りのない料理が自分の好みです。今後もなにか発信をするなら、そういう料理のおいしさを語っていきたいですね。

中国の茶農家の食卓 『中華満腹大航海』(KADOKAWA)より

酒徒(しゅと)/1970年代、埼玉県生まれ。大学1年生のとき、友人たちと初めて訪れた中国で口にした現地の料理に魅了され、中国各地の食べ歩きをライフワークに。大学卒業後、現地での語学留学を経て、北京・広州・上海に合計10年駐在。2019年に帰国後、noteの「おうちで中華」マガジンで、「本場で知った素人でも手軽につくれる中華料理」のレシピを好奇心旺盛に続々公開し、注目を集める。2023年10月に発行された初のレシピ本『あたらしい家中華』(マガジンハウス)が売れ続け、2024年9月、料理レシピ本大賞をW受賞(「プロの選んだレシピ賞」「料理部門入賞」)。2024年12月に上梓した新刊『中華満腹大航海』(KADOKAWA)は、発売後即重版となった。InstagramやXでおいしい情報を発信し続けている。

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