Aさん一家殺人事件は中国人3人のみの犯行なのか
03年秋になると、事件を取材するメディアの関心は、Aさん一家殺人事件について、日本で逮捕された魏と中国で逮捕された王と楊という、中国人3人のみの犯行なのか否か、との点に向けられていた。
まず、元「A計画」の店長だったKは、03年8月26日付で、入管難民法違反(オーバーステイ)容疑で、非公開の指名手配が行われていたが、後に本人が出頭。9月上旬時点で逮捕されている(後に住居侵入・強盗罪で起訴)。彼については、Aさん一家の事件については関与していないと判断された。
9月中旬にAさん一家事件への関与について、自供を始めた魏(この時点で詐欺容疑で再逮捕)であったが、彼の口から出てくる共犯者の名前は王と楊のみで、その他の人物の名前は出ていないことが、9月19日の、福岡県警捜査1課長への囲み取材で明らかになっている。
これまでの捜査常識では考えられないが…
続いて9月末の段階で、福岡県警と警察庁は捜査員を中国に派遣。中国の公安当局との協議を行い、「処罰要請」を行った。
それを受けて、10月前半に福岡県警捜査1課長は、捜査員派遣の成果は「あった」と語っており、「矛盾点が埋まったところもある」と、日中での容疑者の供述が一致したことを、福岡県警担当記者の取材に対して認めている。
同時期、東京の警察庁捜査1課幹部も、オフレコを条件に、次のように記者に語った。
「おおまかなところで3人の供述は一致している。カネ目当てでAさんを狙ったこと。最初から一家全員を殺す予定であったこと。殺した後で遺体を捨てること。それらの点で食い違いはない。もちろん、そういう犯行のやり方は、これまでの捜査常識では考えられない。とはいえ、誰かに頼まれたという話は中国側からまったく出てこない」
かくして「福岡一家4人殺人事件」は、中国人留学生3人による「カネ目当ての犯行」と結論付けられていったのである。
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