衣のU
以前この連載で「GINZA SIX」のオープン前の内覧会に行ったという話をした(「『お買い得』のメカニズム」)。隅から隅までずずずいーっと高級ブランドのオンパレード。自分が完全にGINZA SIXのターゲット外であることを思い知らされた。
というのは、そのときに僕が着用していたジャケット(ユニクロ製)、シャツ(ユニクロ製オックスフォードのボタンダウン。これ最高)、ジーンズ(ユニクロ製)、アンダーシャツ(ユニクロ製エアリズム。当然ですけど)、アンダーパンツ(ユニクロ製。当たり前ですけど)、靴下(ユニクロ製)、ベルト(ユニクロ製)、靴(これだけはABC MARTで買ったVANSのコットンのデッキシューズ)、このすべての価格を合計した金額が、SIXで売っている白無地のTシャツ1枚の値段の半分だった。
こういう高価なTシャツを買う人がいる。それはそれでとてもイイ世の中だと思う。そういうブランド物がバンバン売れて消費が増大するのは大歓迎だ。スキな人にはぜひSIXに行って高額消費をしていただきたい。しかし、僕にとってはバカバカしいことこの上ない。ユニクロに行けば、良質なコットンを使った縫製もバッチリの高品質の白無地Tシャツが1000円で買える。
しかも、10年前と違って、最近のユニクロのTシャツは形やディテールが考え抜かれている。それもそのはず、この1000円のTシャツは「Uniqlo U」というラインの商品で、かのクリストフ・ルメール(自身のブランド「ルメール」はもちろん、エルメスのアーティスティック・ディレクターだったことでも有名)がディレクションをしているのである。この完成されたTシャツがたったの1000円ポッキリ。イイ時代になったものだとつくづく思う。