ただでさえ言葉の違いから意思疎通が難しく、管理ルールの解釈にも齟齬(そご)が多い外国人所有者が、「飽きて」放置する状況はマンション全体の環境の悪化を招いているのです。
「修繕積立金の積み立て」が大不評
自分が所有しているマンションに興味がなくなると、気になってくるのが毎月請求される管理費と修繕積立金です。自分が利用していようがいまいが、この費用は着実に請求されます。
特に生活習慣の異なる外国人所有者には修繕積立金の概念はわかりづらいようです。マンションで共用部を中心に修繕が必要であることは承知していても、なぜそのために毎月積み立てを行なわなければならないのかに疑問が湧くのです。
日本人は子供の頃から、修学旅行に出かけるのに毎月積み立てをする、など比較的なじみのある手法なので当たり前のように受け入れますが、そうした習慣がない外国人からは不評です。彼ら曰(いわ)く「修繕する時に払えばよいではないか。その時にまとめて請求せよ」というのが理屈です。
外国人所有者の未払いというリスク
さらに彼らに不評なのは、積み立てた積立金が、所有していた住戸を売却した時に自分の手元には戻らないということです。次に所有する人のために積み立てていたようなもので、この積立金の継承にも異論続出です。
特に投資として買っている外国人には、しょせん3年から5年でエグジットしようとしているのに、その間の積立金は単なるキャッシュの流出と捉えるのです。
今後懸念されるのは、使わなくなった日本のマンションで毎月の管理費や修繕積立金を支払わなくなる外国人所有者が増えることです。
マンション自体に関心がなくなると、関連するコストを負担することに嫌気が差します。日本に住んでいるわけでもないので、やがて支払いをストップする。管理組合としても請求先が外国。督促にも限界があります。未収分は積み上がるいっぽうです。