都心のマンション価格が高騰し、日本人には手が届かない値段になってきている。不動産事業プロデューサーの牧野知弘さんは「外国人が訪日時の活動拠点としてタワマンを購入するケースが増えているが、あくまで別荘扱いであるためほぼ空き住戸化している」という――。(第2回/全3回)
※本稿は、牧野知弘『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。
日本のタワマンは「一般庶民価格」
最近は都心部のタワマンなど超高額マンションの買い手に外国人の姿が目につきます。世界的な好景気とインフレで物価が上がり、たとえば中国の上海や北京では、一般庶民が買い求めるマンションは戸あたり3億円から4億円が当たり前と言われています。
そんな彼らが日本にやってきて驚くのが物価の安さ。とりわけマンションはタワマンなどが、中国で言う「一般庶民価格」で購入できます。これはもうパラダイスということで、現金でポンと買う人が続出しているのです。
日本では長期間にわたって大規模金融緩和が行なわれ、世の中ではほぼ金利のない世界が続いてきました。その副産物として円安を誘発。外国人から見た日本の物価は破壊的な安さに映っているのです。1ドルが70円台だった頃の日本人が海外旅行をすると何でも安く思えたのと逆バージョンになっているのです。
訪日リピーターの「宿代わり」が多い
さてこうして安いから「ついでに」買ってしまった彼らですが、買った当初の動機を聞くと、日本に旅行などでやってきた時の「宿代わり」というものがほとんどでした。
まだ多くの日本人は気がついていませんが、今日本にやってくる外国人のうち、東アジア4カ国・地域(中国、韓国、台湾、香港)からの観光客には「ニッポンはじめて!」という人はほとんどいません。
2019年の観光庁の調査では、香港から日本にやってくる人のうち58.0%が来日は2回から9回、10回以上来日している人は何と29.7%もいます。日本にやってくる香港人の約9割がリピーターということになります。