YouTube登録者数35万人超を誇るインフルエンサーのYunaさん(28)。日本で生まれた彼女は、6歳から中国で過ごし、10歳でアメリカに移住した。2024年5月、ロサンゼルスから21年ぶりに東京へ戻ってくると、久しぶりの日本で大きなカルチャーショックを受けたという。

 日本とアメリカ、中国では、いったいどのような価値観のギャップがあるのか。Yunaさんは久しぶりの日本で、どんなカルチャーショックを受けたのか——。著書『北京・ハワイ・LAに移住してたどりついた どんな逆境もホームにする生き方』(KADOKAWA)を上梓した彼女に話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)

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インフルエンサーのYunaさん ©細田忠/文藝春秋

ルッキズムを助長する広告が多い日本

――2024年5月に日本に戻ってきたとき、日本の広告に驚いたそうですね。

Yunaさん(以下、Yuna) 外見に関する広告の多さに驚いて。特に、「バーキン買うなら豊胸しろ」と書かれた広告を見たときは目を疑いました。美しさの価値観なんて、人それぞれのはずなのに。

 豊胸以外にも、脱毛やダイエット、薄毛、整形といった、見た目を意識させる広告が日本には溢れていますよね。最近は意識的に、そういった広告を見ないようにしているんです。

――なぜ見ないようにしているのですか。

Yuna 知らず知らずのうちに「美しさとはこうだ」「美しくないと価値がない」という価値観が植え付けられていくような気がして、怖くなっちゃって。広告がルッキズムを助長しているというか。

 

「婚活」という言葉に感じる価値観の押し付け

――たしかに、コンプレックスを刺激するような広告が多いかもしれません。

Yuna あと、マッチングアプリの広告が多いのも気になります。マッチングアプリ自体は、世界的に流行っているし、便利なものだと思うんですよ。でも、日本の広告で使われる「婚活」という言葉に違和感があって。

 誰かとお付き合いするのも、結婚するのも、自由でいいと思うんです。でも、「婚活」という言葉からは、「結婚するために活動すべき」「誰かとお付き合いすべき」というプレッシャーを感じてしまうんですよね。

 容姿や結婚に関することに限らず、日本には固定観念を植え付ける広告や表現が多いなって思います。

――普段から日本に住んでいる人でも、「広告の多さが気になる」という人は多い印象です。

Yuna 私も旅行で日本に来ていたときは「広告が多いな」と感じる程度でした。でも、実際に住んだら、スマートフォンを開くと広告、電車に乗っても広告、タクシーに乗っても広告、街を歩いても広告で……。

 今は「おかしい」と思っていても、常に目にしていると、悪い意味で慣れていってしまう気がするんですよね。