アメリカで整形や脱毛の広告を見かけないワケ

――日本ではルッキズムが問題視されていますが、アメリカや中国ではどうなのでしょうか。

Yuna 中国は、日本と同じくらい見た目を重視する傾向が強くて、整形している人も多いです。小学校時代の同級生たちをSNSで見ると、整形で面影がなくなっていて「誰だか分からない」なんてことも何度かありました。

 一方アメリカは、外見の多様性を尊重する文化で、見た目に関する露骨な広告は規制されています。街中でもスマホ上でも、整形や脱毛の広告を見かけることはありません。

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 ただ、「見た目の美しさの基準」はアメリカ人も持っているな、と感じますね。例えばアメリカでK-POPが流行っているのも、その1つの表れだなって。

 

――アメリカでK-POPが流行るのと、ルッキズムにどんな関係が?

Yuna K-POPアイドルって、目鼻立ちがはっきりしていて、手足が細い人たちばかりですよね。アメリカは表向きでは「みんな違って、みんな綺麗」という文化が浸透しているように見えますが、実際は多くの人がK-POPに魅力を感じている。

 それは、アメリカ人も一般化された見た目の美しさに価値を見出している、ということの表れだと思うんです。

――程度の差はあれど、アメリカにもルッキズムはある、と。

Yuna アメリカでも他人の外見を悪く言う人はいるんです。でも、アメリカではルッキズムで人を傷つける行為は明確に「悪」だとされているから、人の容姿をどうこう言う人は「やばい人」認定されます。だから、ルッキズムはあっても表面化しづらいのかなと。

アメリカで整形手術をする人が少ない理由

――日本では、容姿への評価を気にして、整形を検討する人も少なくないですよね。アメリカではどうでしょうか。

Yuna アメリカでも、ボトックスやヒアルロン酸注入などの美容医療をする人はいますが、整形手術をする人は日本ほど多くないと思います。少なくとも、私の周りでは聞いたことがないですね。

 

――容姿にコンプレックスを感じていても、それを他人から指摘される機会が少ないから?

Yuna それもありますが、「整形へのアクセスの悪さ」の影響も大きいと思います。アメリカにも整形クリニックはありますが、先ほどもお話ししたように、日本みたいにスマホや街中で整形の広告を見かける機会がほぼないんです。

 自分から調べにいかない限りは、どんな整形手術があるかも分からないし、値段も分からないし、そもそもクリニックがどこにあるかも分からない。

 だから、自分の容姿にコンプレックスを抱いていたとしても、整形が選択肢にあがってこないのだと思います。