治療は皮下注射で行われ、投与量は患者の体重や血中IgE濃度に応じて決まります。一度の注射で約2~4週間の効果が期待でき、花粉症の症状がひどくなるシーズン前から治療を開始し、シーズン中に継続して投与するのが一般的です。
使用した患者の多くが症状の大幅な改善を実感しており、抗アレルギー薬や点鼻薬の使用量を減らせたケースも報告されています。症状が軽減するだけでなく、睡眠の質や日常生活の快適さも向上し、患者の満足度は非常に高いと言われています。
ただ、主な副作用として、注射部位の痛みや腫れ、頭痛、倦怠感などが挙げられます。まれにアナフィラキシーと呼ばれる重篤なアレルギー反応が起きることもあるため、初回投与後には医療機関で慎重に経過観察が行われます。
また、この薬は数万円と非常に高価であるため、保険適用には「重症のスギ花粉症で既存治療が無効」という条件を満たす必要があります。そのため全ての方に適用できるわけではなく、使用を検討する際には医師と十分に相談することが重要です。
薬以外の自宅でできる花粉症対策
薬だけでなく、生活習慣の見直しや環境整備で花粉症の症状を和らげることも大切です。
●室内環境を整える
室内環境を整えることは、花粉症対策の基本中の基本です。花粉が室内に侵入しないよう窓を閉め、空気清浄機を活用して空気中の花粉を減らしましょう。布団やカーペットに付着した花粉をこまめに掃除し、室内の清潔を保つことも欠かせません。
こうした対策をすでに実践しているという方も多いでしょう。しかし、やり方を間違えているケースが少なくありません。
例えば、空気清浄機をあまり目立たない「部屋の隅」に置くと、かえって効果が大きく減ってしまう場合もあります。これだと空気の流れが悪くなり、花粉を清浄機のフィルターでキャッチできず、部屋の中で舞い続けてしまうことがあります。
理想的な設置場所のひとつは、人がよく行き来する「部屋の中央」や「床に近い位置」。吸引口や送風口の場所にもよりますが、室内中央なら空気の停滞する箇所を少なくして、空気をバランスよく清浄でき、落ちてきた花粉も効率よく吸い取ってくれます。花粉が侵入してくる玄関、ドア、窓付近も効果的だと言われています。