これらの取り組みは、花粉症そのものの改善だけでなく、体全体の健康維持にも役立ちます。さらに、鼻うがいや蒸気吸入といった補助療法を取り入れることで、鼻づまりを和らげることができます。
花粉症対策では、心のサポートもとても大切です。症状が続くとイライラしたり不安を感じたりして、とりわけ受験生には大きなストレスとなることがあります。こんなときは、気持ちを前向きにする「リフレーミング」という考え方が役立ちます。
たとえば、「花粉症を完全に治すのは難しいけれど、自分の工夫次第で症状をうまくコントロールできる」と前向きに考えてみましょう。さらに、短い時間でできる瞑想や深呼吸を取り入れると、気持ちが落ち着き、リラックスすることができます。
また、家族や友人、学校の先生に自分の症状や困っていることを話すのも大切です。周りの人に協力をお願いすることで、一人で抱え込まずに安心して対策ができるようになります。
患者さんのひとり、男子小学生のKくんは、中学受験の2年前から舌下免疫療法を開始し、抗ヒスタミン薬や漢方薬、メガネ・マスクといった対策が功を奏し、模試の偏差値は56から65へと急上昇し、見事有名私立一貫校への合格を勝ち取りました。
花粉症は受験生にとって大きな試練ですが、できるだけ快適に過ごすためには、早めの対策が重要です。生活環境の整備や習慣の見直し、薬の適切な使用、そして精神的なサポートを組み合わせることで、症状を効果的に管理することができます。
特に受験生にとっては、症状を軽減しながら集中力を保つための工夫が欠かせません。花粉症と上手に付き合い、目標に向かって全力を尽くせる環境を整えていきましょう。これからが受験本番、自分の力を最大限に発揮するための準備を進めてください。
内科医
鳥取県米子市出身。1997年、九州大学医学部卒業、同大学第一内科入局。宮崎県立宮崎病院、国立がんセンター中央病院などで勤務後、2007年からPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の審査専門員。その後、ナビタスクリニック立川の内科医として外来診療を担当し、2011年からはときわ会常磐病院内科非常勤として勤務を始め、現在に至る。また2012年より谷本勉強会をスタート、その成果を『NEJM(ニューイングランド医学誌)』や『JAMA(米国医師会雑誌)』、『ランセット』、『ネイチャー』等で発表している。
