幹也はたまりかね、「もうこれ以上メールを送るのはやめろ」と抗議したが、上江は幹也に直接電話をかけるようになり、明子と自分がどんなセックスをしていたのかまでを事細かに話すようになった。
明子は「彼に直接電話しないで。するなら私だけにしてよ」と訴えたが、上江は聞く耳を持たなかった。
ついに幹也は警察に相談した。明子も呼ばれて事情を聴かれることとなり、上江と結婚前に不倫関係だったことなどを説明した。
ストーカー容疑で逮捕→会社にはマスコミ殺到
上江はまず、幹也に対するストーカー規制法違反や脅迫などの疑いで逮捕された。その後、明子にも同様の行為を行っていたとして、同法違反などの疑いで再逮捕された。
上江の会社はトップの不祥事に愕然。マスコミが殺到し、広報が対応した。
「逮捕された事実しか確認できておりません。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。本人は事業経営に熱心で、このような事件と結びつかず、困惑しております」
同社は取引先の信用を失い、株価まで下落する事態に陥った。上江は副社長を解任され、その後、解雇された。
上江の妻も寝耳に水で、離婚を検討したというが、「夫のみじめな姿を見て、私にも責任があるのかと思った」として、情状証人として公判に出廷した。
弁護人:逮捕されたのを知ったのは?
妻:当日の朝、主人より電話があり、数名の刑事さんと一緒に主人が戻ってきてから逮捕されました。
弁護人:理由を知ったのはいつ?
妻:新聞、テレビで知りました。ストーカーと聞いて思い当たる点はなかったので、信じられなかった。
弁護人:離婚は考えましたか?
妻:最初は裏切られた、許せない気持ちだった。でも、子どもたちのことを考え、別れないことにしました。子どもたちも「離婚はしないで」と言ってきた。
弁護人:今、被告人を見てどう思う?
妻:知らない間に壊れてしまったことを気がつかなかった私も悪い。もう一度チャンスを与えて更生させていきたい。
