誰もが「望む選択」ができる社会に
――不妊治療の公表について、パートナーには相談したのですか?
大山 もちろん相談しました。自分のことだけではないので。夫は、スポーツ界や選手のためになるならいいんじゃないといってくれました。
ただ、私の場合は子どもを望んでいて、結果的に子どもを授かりましたが、同時に「そうじゃなくてもいい」ということも伝えたいです。結婚してもしなくても、子どもがいてもいなくても、すべての選択が尊重されるべきですし、たとえば女性だけが家庭とキャリアを天秤にかけなければならない風潮があるのだとしたら変わる必要があるはずです。誰しもが望む選択ができるような社会になることを願っています。
――あらためて、現在の生活はどうでしょうか。仕事しながら双子を育てるのは大変ですよね。
大山 てんてこ舞いです。でも、私が住んでいる地域ではベビーシッター利用支援事業という制度があって、6歳までの児童一人について年間144時間、多胎児(双子)は288時間まで、ベビーシッター料が助成されるんです。この制度にとても助けられています。近くに住んでいる妹夫婦に預かってもらうこともありますね。サポートのお陰で仕事も出来るようになりました。
――パートナーとは「人生哲学が一緒」(#1)とおっしゃいましたが、喧嘩することはないんですか。
大山 もうしょっちゅう(笑)。つい先日も、私が留守中に、(子どもの)誕生日にプレゼントする予定のものをもう買い与えてしまって、「もうっ!」ってなりました(笑)。 ただ子育てについて明確な取り決めはありません。イラっとするときもありますが、この人がいなければ娘たちにも会えなかったと思うと、怒りもすぐに収まります。
子ども用の小さな椅子に座って…「みんな笑っているだろうな、って(笑)」
――お子さんにもスポーツ選手になってほしい、とかは……。
大山 特にありませんね。夫は「バレーボールやる? サッカーやる?」と促していますが(笑)。元気に笑って過ごしてくれればそれだけで満足。
娘たちは私のように特別身長が高いというわけではありませんね。娘たちの幼稚園の行事に行くと用意されている保護者席がちっちゃな子ども用の椅子なんです。187cmの私が子ども用の椅子に座っているの、絶対みんな心の中で笑っているだろうな、って(笑)。
ただ、バレー教室に行くと背が高いと子どもたちがすっごくキラキラした顔で見てくれるんですよ。それだけでバレーが凄く上手い人と思ってくれる。高身長がコンプレックスだった時期もありましたが、そんな時は得したなって(笑)。これからも全国の子どもたちにスポーツの楽しさを教える活動は続けていきたいです。
撮影=末永裕樹/文藝春秋
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