元バレーボール選手の大山加奈さん(40)。現在は双子を育てる母でもある。しかし、結婚してすぐ、31歳頃からは不妊治療に苦悩する日々を送ってきた。体外受精に踏み切るまでの葛藤、金銭的な負担、妊活と仕事の両立の難しさ……。大山さんが世間に“知ってほしい”と願うこととは。(全2回目の2回目/はじめから読む)
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結婚と同時に妊活をスタート
――今は女の子の双子に恵まれていますが、不妊治療に大分苦労されたんですよね。
大山加奈さん(以下、大山) 現役時代に怪我が多く、痛み止めの薬を毎日服用していたし、脊柱管狭窄症で腰にメスも入れていたので、何となく子供ができにくいんじゃないかと感じていました。それで結婚が決まった時に、ブライダルチェックを受けたんです。
するとAMH(抗ミュラー管ホルモン/発育過程にある卵胞から分泌されるホルモン)値が低いこと、毎月排卵していない可能性があることを医師に告げられました。当時30歳でしたけど、42~43歳の数値。体を酷使してきたせいか体の冷えが酷く、基礎体温も34~35度とガタガタ。
――不妊治療を始めたのはいつからですか?
大山 ちょうどその頃に母に膵臓がんが見つかり、早く孫の顔を見せてあげたくて、結婚と同時に妊活をスタート。当時は31歳ですね。タイミング法を1年間やりましたが、授からなかったので人工授精に切り替えました。人工授精は1年間に5回やりましたが、これもダメで……。医師から体外受精を勧められました。
体外受精に踏み切るまでの葛藤
――体外受精にはすぐに踏み切れましたか。
大山 いやあ、しばらく悩みましたね。当時は、自然な形で授かりたいという思いも強く、なかなか受け入れられなかった。でも医師には「早く決断しないとそれさえも成功率が低くなる」と助言されて……。
体外受精の1回あたりの費用は60万円ほど。仕事もあり何度も病院にも行けないので自分で注射をしなければならない。躊躇う要素は色々あったのですが、でもやっぱり子どもを授かりたかった。体外受精に踏み切ってから、妊活にいいと聞けば何でもやりました。
――仕事をしていると、通院の日と重なる場合もある。どちらを優先しましたか。
大山 1年に12回しかないチャンスだけど、以前から決まっていた仕事には絶対に穴はあけられない。諦めざるを得ないことは何度かありました。
私ばかりでなく、働いている女性は必ずこの壁にぶつかると思います。30代後半の女性は仕事が充実してくる時期だけど、妊娠率は下がってくる。仕事と妊活、どちらを優先するべきか、葛藤している人も多いと思います。現状で両立は難しい。妊活女性は育児休暇と同じように、休めるシステムがあるといいんですけどね。