A子さんはB氏の車にGPSを取り付け、自分と会っていない日にラブホテルへ行っていた事実をつかんだ。そこでGPSによる車の走行記録を地図に書き込み、代筆業者に依頼してB氏の妻に手紙を送ったこともあった。

 長坂被告にはこの件は隠して、60万円ほどでB氏の身辺調査を依頼し、長坂被告は5日ほど行動確認をしたが、相手方に近付いただけで通報されてしまい、非常に警戒心が強かったことから、「相手の奥さんが落ち着いてからまた調査を再開しましょう」と提案した。

 その後、長坂被告はA子さんの不倫問題の相談相手になった。A子さんとしてもこんな話を相談できるのは長坂被告しかいなかったので、長坂被告を頼りにしていた。

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警察が動き出したと聞いて態度が一変

 ところが、A子さんはB氏から「警察沙汰になったので、ほとぼりが冷めるまで会えない。もし、自分のことを聞かれたら、『割り切った関係だ』と説明してほしい」と頼まれた。

 B氏には「GPSを取り付けた犯人を殺してやりたい」と言われ、A子さんは自分が犯人だと分かれば捨てられてしまうのではないかと思い、頭の中がグチャグチャになった。長坂被告には慰められていたが、自分がGPSを取り付けたために警察が動き出したという話をすると、長坂被告の態度が一変。「警察にかかれば、すぐ犯人が分かる。探偵会社にも自動的に捜査が入る。どう責任を取ってくれるんだ!」と怒鳴りつけられた。

「女医がストーカーなんてマスコミが飛びつく事件だ。マスコミにかかれば、Bさんの家族も簡単に特定される。記事になれば、子どもたちがいじめられ、自殺する可能性も高い」

 長坂被告は「自分にはマスコミにツテがあるから根回し可能。そのあたりのことも含めて会って相談しよう」と持ちかけてきた。

最初に待ち合わせた1Fホテルロビー(愛知県豊橋市)

 こうして3月13日、2人はJR豊橋駅直結のビジネスホテルのロビーで待ち合わせることになった。A子さんがロビーのソファに座っていると、隣に男性が座ってきて話しかけられた。

「A子さんだね。5階の日本料理店に入って待っていて欲しい。万が一、尾行が付いてきているといけないので…」