そのままの味を伝える責任

北尾 真介さんはいつもそう言うよね。まったくブレない。

真介 それはそうですよ。マスターの味をいかに忠実に再現できるかこそが、僕に与えられた使命だとずっと思ってやってきましたから。スープの出来がちょっと悪いと感じるときがあると、マスターに申し訳なくて落ち込んでしまうもんね。自分を許せなくなる。

北尾 お客さんがそこまで微妙な味の差には気づかずに満足して食べていたとしても、そういう問題じゃないということ?

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真介 はい。マスターの作る料理はもう食べられなくて、“ラーメンの神様”の味をそのまま伝えられるのは僕だけになっちゃった。責任重大なんですよ。

北尾 弟子をそんな気持ちにさせてしまう山岸さんのすごさがどこにあるのか、それを足がかりにして、“ラーメンの神様”に決定的な影響を受けた弟子がどんな人生を歩んできたのかを振り返ってみたい。

真介 マスターが忘れられていくというのは残念すぎるし、すごい人がいたんだってことを知ってもらえるならいくらでも。どんな影響を受けてきたかなんて考えたことがないので、自分を知り直すいい機会になりそうです。

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