陸上自衛隊を辞めてアイドルに“キャリアチェンジ”した女性がいる。昨年秋からアイドルとして活躍する大江璃奈さん(23)は、自衛隊所属時は普通科連隊の隊員として、米軍との合同訓練で相手兵士10人を倒すなど、将来を嘱望されるエース隊員だった。
なぜ、安定したキャリアを捨ててアイドルを目指したのか。波乱万丈な半生を大江さんに聞いた。
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――大江さんは中高で陸上競技部に所属し、高校を卒業後に陸上自衛隊に入隊されました。小さい時から運動はお好きだったんですか。
大江璃奈さん(以下、大江) 幼少期は歩けるようになったら走り回ったり、階段をかけ上がって転げ落ちたりとか、とにかく運動するのが好きだったんです。ただ、走るのだけはあまり得意ではなくて。母が結構スパルタだったので、小学生のときから家族でどこかへ出かけるとき、私だけ走って行ったりして鍛えられていました。
家族の外出でひとりだけ走っていた
――ご家族は車で目的地に。大江さんはどれくらいの距離を走るんですか。
大江 車で30分ぐらいかかるところを普通に走っていました。私だけ2時間ぐらい前に先に出発して、もし車より到着が遅かったら、帰りも走ることになっていて。その時に、体力やメンタルが鍛えられましたね。中学生までずっとやっていました。
――そこまで走りこんだら中学や高校での部活の成績は……。
大江 中学では数十年ぶりに関東大会に出場できて、いい成績を残せました。ただ、中学3年生のときに高校受験のギリギリまで大会が続いていて……。私、頭悪いんですよ。他の同級生は地元で1、2位を争う高校に行ったんですけど、私は受験勉強がほとんどできなかったので、地元の下から数えた方が早いぐらいの商業高校へ行きました。そうしたら、陸上部はあるんですけど、部員が誰もいなかったんですよ。廃部寸前の状態で。