――部員は大江さんだけ?

大江 私と短距離の子が1人で、計2人でした。先輩もいないし、顧問も決まってなくて。高校1年のときから3年生のときまで私がずっと部長をやってたんですよ。

――成績は残せましたか。

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大江 長距離はずっと1人だったので、いい練習がなかなかできなくて、行けたのは県大会入賞まででした。インターハイを目標にしていたんですけどね。

©石川啓次/文藝春秋

高校時代に両親と別居

――高校生活も部活に捧げていたような状態ですか。

大江 そうですね。平日は毎日練習していました。実は高校時代は実家から通っていなくて。お姉ちゃんと2人で高校の近くで暮らしてたんですよ。

――それはなぜですか。

大江 親と一緒にいるのが嫌になってしまって。私の家は8人兄弟の大家族なんですが、早めに独り立ちしたいという気持ちがあって、親には反抗してきたんですよね。それで姉と2人で暮らそうということになりました。私は、勉強はやりたくなかったから、お昼過ぎぐらいに起きて学校に行って、部活だけやるという生活が続きました。

――卒業後の進路に自衛隊を選んだのはなぜですか?

大江 正直、部活ばかりで将来のことは何も考えてなかったです。まわりは専門学校や就職など進路を次々と決めていく中で、先生から就職先のリストのようなものを貰って。バーッと見ていたら「陸上」と書いてあって。私が得意なことといえば陸上競技しかなかったので、先生に「ここにします!」と言ったら、それが陸上自衛隊だった。