進学せずに芸能活動への専念を決断

 このとき早見は高校卒業を控え、再び大きな決断をしていた。それは卒業後は大学に進まず、芸能活動に専念するということだ。前年の夏休みまでは進学するつもりでいたものの、休みが明けたぐらいから、それは本気でやりたいことなのかと思い直すようになった。考えていくうち、芸能界の仕事は将来どうなるかわからないからと保険をかけるつもりで大学に行っても、途中で辞めてしまうような気しかしなくなったという。

 この決断も、周囲を驚かせ、いろんな人から止められた。彼女にも止められる理由はよくわかっていた。高校卒業直前のインタビューでは、《たしかに冷静に自分を俯瞰で見たときには「ホントにバカだね。なにやってんの? もっと楽な道、あるじゃん!」って思いますもん。でも、これが私だから仕方ないやって。他人が決めた道だったら、絶対に失敗したときに、他人のせいにするんですよ。だけど自分で決めたことだから、すべて自分の責任になる。やるしかなくなるじゃないですか?》と語り、このときも決意は揺るぎなかった(『Quick Japan』前掲号)。

早見あかりのインスタグラムより

お笑いの猛者たちとの共演で才能を開花

 この決断にいたるまでにも、早見は高校に通いながら、憧れであった演技の仕事を徐々に始めていた。ももクロを脱退後、2011年の秋からはテレビ東京の深夜番組『ウレロ☆未確認少女』に劇団ひとり、バカリズム、東京03というお笑いの猛者たちとともにレギュラー出演し、弱小芸能プロダクションを舞台とするシチュエーションコメディを繰り広げた。同番組は好評を博したことからシリーズ化され、2019年の『ウレロ☆未開拓少女』まで5シーズン放送されている。

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「ウレロ☆」シリーズを通して早見が演じたのは、“あかり”と名前は同じだがプロダクションの事務員の役だった。シリーズが進むにつれ、あかりは自分に好意を抱く職場の同僚・角田(演じるのは東京03の角田晃広)を冷たくあしらうドSキャラという設定となり、どんどん凶暴化していった。

テレビ東京系「ウレロ☆未体験少女」(2014年)

 この番組は観客を入れての公開収録で、生の反応が返ってくるだけに、彼女も出続けるうち俳優というより芸人として参加している感じになっていったという。シリーズ第3弾の『ウレロ☆未体験少女』(2014年)に出演した頃にはこんなふうに語るまでになっていた。