「ビンタをするときどうやったら眼鏡がとぶかとか…」

《最初はオロオロしてるだけだったんですけど、シーズン3になって、笑いのパートもまかされるようになってきて、いまではどうやったらお客さんが笑ってくれるかとか、ビンタをするときどうやったら眼鏡がとぶかとか、ものすごく真剣に考えてます》(『anan』2014年4月30日・5月7日合併号)

 眼鏡を飛ばされるのはもちろん角田晃広である。 あかりのドSキャラは番組以外でも徹底された。東京03のライブに早見が花を贈ったとき、添えられた札には3人のメンバーのうち飯塚悟志と豊本明長の名前だけが書かれ、角田の名前はなかった……ということもあったとか。「ウレロ☆」ファンはそれを見て、きっとニヤリとしたことだろう。

東京03。(左から)豊本明長、飯塚悟志、角田晃広  ©文藝春秋

 余談ながら、つい先月(2025年2月)、NHKラジオ第1の番組『東京03の好きにさせるかッ!』に早見がゲスト出演し、久々に東京03の3人とコントをかつてと同じく息ぴったりに演じていた。テレビや舞台でもまたこの組み合わせでコントを見たいところだ。

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ももクロ時代に培ったアドリブ力

 ももクロの川上マネージャーは、メンバーに対応力の高いタレントになってもらうため、日頃から決めたことを直前になって変更したり、アドリブを要求したりと無茶ぶりを繰り返していたという。早見が、お笑いの猛者たちに揉まれながらコメディエンヌの才能を開花できたのも、元をたどれば、ももクロ時代に受けた指導の賜物といえるかもしれない。

早見あかりのインスタグラムより

 初めて長編映画の主演に決まったときも、マネージャーから早見には当初「髪を切る仕事が決まった」とだけ伝えられ、どんな仕事なのか訊いても教えてもらえなかった。映画の話だとわかったのはかなり経ってからで、しばらくは噓なんじゃないかと思っていたという。まるでドッキリを仕掛けられた芸人のようだ。

 その映画とは、作家・乙一(中田永一名義)の青春恋愛小説が原作の『百瀬、こっちを向いて。』(2014年)であった。早見は同作の監督の耶雲哉治(やくもさいじ)と初めて会ったとき、「脚本を読んでみて、(主人公の)百瀬ってどういう子だと思った?」と訊かれ、「髪が短くて、意志の強い女の子だと思います」と答えたという。耶雲はそこで「あ、この子は髪を切ってもOKなんだ」と判断したらしい。