「ステージだと自然と元気になるんだよね。ただ…」

――老いによって「忘れる」ということも歌にしていますよね。

石川 実際そういうこともあるしね。僕だって地名も人名もパッと出にくくて、本当に言葉が出てこなくなってるな~。

――ライブでは相変わらずパワフルでいらっしゃいますが。

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石川 ステージだと、無理してるわけじゃなくて自然と元気になるんだよね。だからこそ、ライブはやり続けた方がいいと思ってて。ただ、以前は3日連続ライブとかやってたけど、最近は2日連続でも次の日に、熱は出ないまでも「今日はもう寝てよう」みたいになることも多くなってきちゃった。

©︎文藝春秋

――じゃあ、休日をしっかりとるようにしながら、毎ステージのパワーはキープして。

石川 そうね。だんだん休みの日は増えてる。それでも去年、80本以上のライブをやってますけどね。

歳を重ねてもそのとき一番楽しく生きればいいんじゃないか

――今日お話を伺って石川さんが常に楽しくマイペースで生きてきたことがわかりました。これからも歳を重ねていくことについてどう考えていらっしゃいますか?

石川 やっぱりね、人ってだんだん年老いていくんじゃないんだよね。40歳で階段を1段降りて。60歳くらいで階段をもう1段降りるんだよね。それは明らかに体力もそうだし「何かをやってやろう」とか「よし、あそこへ行こう」とか。そういう気力もね、ガクッとなくなってきたな、っていうのがあるよね。でもまあ、自分より年上の80歳、90歳になってる先輩たちを見ても、そういうふうに感じてると思う。それは生物として当然のことだから、そのときなりの、自分が一番ラクで楽しく愉快なことをすればいいと思うんだよね。

「幾つになったらこれをやろう」なんてずっと先のことを思っても、その年になったら興味も変わってるかもしれないから、そのとき「今、自分が何をするときが一番楽しいかな」と考えて、それをやるようにして。で、疲れたら別に無理しながらやるんじゃなくて、休むのもいいと思うし。とは言っても、その人なりのこだわりがあるだろうから、自分なりのこだわりの中で、一番楽しいことをそのときどきでやっていけばいいんじゃないかなと思います。

 だっていつ何が起きて死んじゃうかわからないしね。だから年齢というより、いつもそのときに一番楽しいことをやるようにしてれば、まあ、そんなに不満なく逝けるんじゃないかな~(笑)。

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撮影:石川啓次
取材協力:レストラン多花美

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