40年かけて集めたコレクション「いまさらやめられない」のも悩み
――缶は全部でどれぐらいあるんでしょう?
石川 缶飲料を飲んでいるペースからしたら、40年で3万種類。一応デザインが違ったら別っていうルールにしているんで、それくらいかなと。多分、中小メーカーだともう会社がなくなってるところもあって、缶を保存していないと思うから、僕しか持っていないっていう貴重な缶もあるかもしれない。そういうこともあるから、いまさらやめたくても、やめられないんです。
飲料ってどんどんペットボトルに移行してるから、いっそ全部ペットボトルになってくれればやめられるんだけど。この3万缶を管理するために、マンションじゃなくて一軒家を借りないと住めないんです。収まりきれないから。
――貴重な缶はプレミアがついたりするんですか?
石川 多分ついてるのもあると思います。昔のコカ・コーラみたいなのをネットオークションで調べると1万円くらいするのもありますし。だから僕の3万缶が全部そうなれば3億円の資産を持ってることになりますね(笑)。でも逆に、テレビ番組とかで使うからって貸し出して、もし無くされたりした場合「弁償はできない」って言われるんです。ゴミとして0円か、せめて値段をつけるとしても、買ったときの価格だって。
――貴重な缶の扱いが難しいですね。
石川 難しい。だから中途半端に持ち出したくないんですよ。
「死」のもとで輝く「生」を楽しむ
――石川さんは今もオリジナル曲を作り続けてますが、曲作りで何か変化はありますか?
石川 だんだん歌詞がストレートになってきてるかな。昔の方がひねったような、ひねくれたような、人が聴くとワケがわからないような歌詞だったと思いますね。
――最近の曲では「死」がテーマの歌詞もありますね。
石川 同年代とかちょっと年上で亡くなっていく人もいるし、死というものが近づいてきていて、どうしても意識せざるを得ないからね。それに、恋愛の歌を作りたいって気持ちもあんまりないしね。今「キャピキャピ・デ~ェト♪」みたいな歌詞書いたって、全然気持ちと一致しないもの。普段考えてることとして、どうしても死がちらつくことって多いよね。
誰でもいつか死ぬことはわかってるから、その中でいかに、それまでの間の「生」を楽しむかっていうことをね。それをテーマにしようと思って曲を作ってるわけじゃないけど、結果「あ、またそういうテーマになってる」っていうことは多いかな。
――「死」の裏側としての「生」というか。
石川 そうですね。「死」があるからこそ「生」により躍動感があるというか。それがなくてずっと死ななかったら、もっと生きることがダレると思うんですよ。