結婚していて子どもがいない世帯の場合は、配偶者が公的年金である国民年金・厚生年金に加入していたら、死亡時に遺族は遺族年金が貰えます。その上で、遺族は成人していますから自身で働いて生計を立てることも可能です。ちなみに、遺族年金は男性も受け取れますが、妻の死亡時に55歳以上である必要があり、受給開始年齢は60歳からです。女性が、夫の死亡時に30歳以上であれば子どもの有無に関係なく受給できるのに比べると残念ながら男女差があります。
子どもがいる世帯も高校生ぐらいになれば、その後の養育費の負担は見通しやすくなります。大学に進学することを想定していれば、教育費として一定の貯金を準備している人も多いでしょう。
生命保険は、死亡時に残された家族の生計が成り立たない可能性があり、足りない部分をカバーするというのが基本的な発想です。究極的には、十分な資産があるなら、最初から生命保険に加入する必要はありません。
積立型と掛け捨て型のどちらが良い?
我が家では、子どもが生まれる前に掛け捨て型の生命保険(保険料は月額3000円、加入期間20年、保険金受取額3000万円)に加入し、子どもが十分大きくなり、資産が増えたタイミングで解約しました。私と配偶者どちらか、または両方が死亡したとしても、今の資産があれば、子どもたちの養育費は十分賄えると考えたからです。新たに同じ条件の生命保険に加入しようとすれば保険料は増えるため、今解約するのはもったいないかなとは考えたものの、不必要な保険料を支払い続けることは合理的でないと判断し、加入期間中に潔く解約を決断しました。
なお、生命保険では積立型と掛け捨て型のどちらが良いか、いつも議論になります。検索しても保険会社の宣伝文句が多く出てきて、どちらが良いか悩んでしまうでしょうが、(生命保険に限らず)保険は掛け捨て型を選ぶのがお勧めです。
積立型の生命保険は最終的に掛けたお金が返ってくることから、お得に感じられて人気があります。ただ、保険料は掛け捨て型より多くなりますし、途中解約したら積立金は満額は返ってきません。何より、満期でお金が戻ってくるといっても、保険会社に手数料を支払っているため、自分で投資をした場合に比べると金額は少なくなります。積立型の生命保険は、一見すると保険料を払っていないようで、実は色々なところで保険会社が儲かるように手数料を取っているのです。
私は、生命保険は途中解約することを想定していましたし、保険会社に多額のお金を払うぐらいなら自分で投資した方が増やせると考えて、最初から掛け捨て型の生命保険を選んで加入したのでした。
話を元に戻します。生命保険は基本的に小さい子どもがいる世帯向けであるにもかかわらず、非常に興味深いことに、日本人の多くは子育てが終わっているはずの高齢になっても加入し続けています。
50~60代で8割、70代で7割です。高齢出産の家庭もあるかもしれませんし、相続対策を考えているかもしれませんが、高齢ゆえ介護費用も気になる中、遺族の「いざという時」のために生命保険に入り続ける必要は本当にあるのでしょうか。
日本人の保険料が高くなるのは、何にどれだけの金額が必要かを見積もっていないことが原因です。人の死というのはつらく悲しいものではありますが、その時に常に数千万円の多額の現金が必要になるというわけではないのです。
現在の経済状況・家族構成に当てはめた時に、一体どのくらいの金額を遺族に残す必要があるか、具体的に考えた上で生命保険の掛け金を最低限にすると、自然と保険料を削減できます。



