「庵野ウルトラマン」第1作

―― それが「庵野ウルトラマン」と呼ばれる最初の作品ですか?

庵野 そうですね。どうせなら番組の形式にしたほうがウケるんじゃないかみたいな、そういう気持ちです。だから、そこの部分だけは制作費を自分で出してますね。手伝ったのは同じ下宿の人たちで、グループとは関係ないです。山賀はその時同じグループだったけど、あとは下宿にいた人ですね。赤井は1回生の時は別のグループでしたが、同じ下宿だったので参加しています。

―― 庵野さんが演じたのは変身後のウルトラマンですよね。

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庵野 そうです。

―― 変身前はどなたが?

庵野 山賀がやってました。

―― ウルトラマンと称しているのに素顔のままなのは、どういう発想だったんですか?

庵野 ごっこですからね。カラータイマーが付いているからウルトラマンになるけど。最小限の情報でウルトラマンというのをやってみたかったんです。

―― 使っている効果音が本物だったことに感心したと島本和彦さんが漫画で描いていました。

庵野 同級生が特撮好きで、いろんな効果音をテープに録っていたんですよね。効果音といってもビデオからそこだけ抜いたのをカセットに落としているようなものですけど。

―― 効果音ライブラリーみたいなものですね。

庵野 それを借りて付けてましたね。音楽も、その時はレコードが出ていたので。

―― 作った時、音が果たす大きさを感じました?

庵野 音が本物なら、それでだいぶ印象が変わりますから。音は大事ですよね。その頃にはもう、この音はそのまま使いたいというのは感覚的にあったと思います。音楽も。パロディでやる以上は、そこは合わせないと。基本ですよね。内容も円盤が来て、宇宙人が出て、暴れるのはないですけど、隊員が来て変身して、あとは戦って勝って終わりという。最後は見送る人がいるような、そういう最低限のパターンで。絵コンテはあったかな? 簡単なコンテは描いた気がしますけど。『ナカムライダー』の時も絵コンテとかはなく、その場の思い付きで「これやろう、あれやろう」とやったので、そういう流れでやっていたと思いますね。

©藍川兼一

―― それが1年の時ですか。

庵野 1年の時ですね。

―― 2年でももう1本『ウルトラマン』を作られるんですよね。

庵野 あれは監督が違うんで。

―― そうなんですか。部屋の中でウルトラマンの対決シーンを撮ったというのは?

庵野 あれは、山賀がFIRST PICTURESに出すネタがないので、ウルトラマンをやらせてほしいと。じゃあ、それは手伝うよと。

―― それは出演者としてやった?

庵野 出演だけです。