「政治家とカネ」の問題が再燃している。なぜこの問題はなくならないのか。ジャーナリストの鮫島浩さんの著書『政治家の収支』(SBクリエイティブ)から、政治家の金銭感覚を麻痺させる“年収と小遣い”を紹介する――。

写真=時事通信フォト 選挙ポスターに品位保持などを求める改正公職選挙法が可決、成立した参院本会議=2025年3月26日、国会内 - 写真=時事通信フォト

政治家には、三つのお金の通り道がある

政治家が得ているお金の流れは、非常に複雑です。そのため、政治家当人も、収入・支出といったすべてのお金の流れを逐一チェックできているわけではありません。

「政治とカネ」の問題が繰り返されるのは、政治家がお金に対して貪欲だったり、無頓着だったりという理由もあるでしょうが、そもそもお金の流れが複雑で把握(はあく)できていない面もあるでしょう。だからといって、使途不明金、杜撰な会計処理・報告が許されるわけではありません。

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なぜなら、国会議員に入るお金には、私たちが納めている税金が原資になっているものが多いからです。

国会議員には、大別してお金を得る道が三つあります。一つ目は、議員が個人として受け取るもの。二つ目は、所属する政党の政党支部を管理しているもの(支部長)として受け取るもの。三つ目は、政治家個人の資金管理団体などの政治団体として受け取るもの。

詳しくは後述しますが、二つ目と三つ目は、一つ目と区別されるお金ということを覚えておいてください。ここから先は、政治家個人が受け取るお金なのか、政党支部や資金管理団体として受け取るお金なのかで、大きく変わってきます。

国会議員の給与明細――2000万円を超える歳費の内訳

国会議員も、一般的なサラリーマンの月給に相当する歳費と呼ばれる給与が支払われています。これは政治家個人が受け取るお金です。歳費は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(歳費法)に定められています。

2024年9月現在、同法では、衆議院・参議院どちらも月額129万4000円が支給されることになっています。日給(ひと月30日換算)にすると4万3133円。年収にすると、1552万8000円です。ちなみに、税金などはかかりますから、それを引いたぶんが手取りとなります。