国会議員は、真面目に仕事をすればするほど、費用が莫大にかかる仕事です。しかし、文通費に対する国民の批判は厳しく、議論を受け、歳費法が2022年4月に改正されました。それに伴い、文通費は調査研究広報滞在費へと名称を変更し、支給額の算出も日割り計算へと変更されたのです。先述の在職1日の市井紗耶香氏が旧文通費を日割りで受け取ることになったのは、この法改正の結果です。
しかし、「月100万円支給」や「領収書の提出は必要なし」といった内容に変更はありませんでした。
月65万円の「第三のお小遣い」立法事務費とは
歳費や旧文通費以外にも、国会議員には、立法事務費と呼ばれる月65万円も支給されるお金があります。法律では、「国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費の一部」とされており、経費のため、旧文通費と同じく、非課税となっています。
ただし、立法事務費は歳費や旧文通費とは異なり、議員個人に支給されません。原則的に、その議員が所属する各会派の政治団体に支給されています。
ここで、会派という聞き慣れない言葉が出てきたので、簡単に説明します。私たち有権者は選挙において議員個人の政策に耳を傾け、そしてその人となりを見て投票するか否かの判断をする人が多いでしょう。しかし、それ以外に、政党を判断指標にしている人もいます。「○○党は自分の考えに近い政策を掲げている」とか「××党は党首の主義主張に共感できるから投票する」といった感じです。
選挙は、議員の個人間で戦うこともありますが、政党間の戦いでもあります。しかし、それはあくまでも選挙の話です。国会内では同じ政党でも、衆議院と参議院では別々に法案を審議しています。国会内では仲間として協力することができないのです。そこで、同じ政治思想・主義主張を伴う会派と呼ばれるグループを形成し、会派単位で協力・連携します。
税金なのに「使い道」は公開されない
図表1を見てください。2023年12月13日時点の参議院でいえば、最大会派は自由民主党で117名、次いで立憲民主・社民の40名です。