「第二のお小遣い」旧文通費とは
ここまで説明してきた歳費は、議員にとって月給とボーナスとなる収入です。しかし、国会議員は頻繁に自分の選挙区へ戻ります。永田町には「金帰火来」「金帰月来」という言葉があり、文字通り金曜日の夕方に選挙区(地方)へ行き、火曜日もしくは月曜日の朝に永田町(東京)へ戻ってくる国会議員の行動様式を表した四字熟語です。
金曜日の夕方に永田町を発った政治家たちは、土曜日の朝から選挙区で催(もよお)されている祭りや会合、町内会の清掃活動や小中学校の運動会などに顔を出して、自分の顔と名前を売り込むとともに、人脈を広げていきます。
東京生まれ、東京育ちの国会議員は多くなっています。選挙区が地方にあっても、地元のことをまったく知らない議員も珍しくありません。毎週土曜日に選挙区へ行き、さまざまな政治活動を通じて町内会長や小中学校のPTA会長などとの関係を深め、さらに市長とも懇意になれば、それが票へとつながっていくのです。
国会議員が永田町と地元の選挙区を往復するために、多くの国会議員にはJR全線の無料パス(特殊乗車券)が支給されています。名刺大のこの無料パスは、在来線の鈍行だけではなく、特急や新幹線にも乗車できますし、新幹線のグリーン車にも乗ることができます。また、東京から離れた道府県を選挙区にしている国会議員は、代わりに航空機の無料パス(航空券引換証)を選ぶこともできます。
月100万円、領収書の提出は必要なし
こうした無料パスの支給だけでも十分に思えますが、国会議員は地方視察なども多いとされているため、それらの経費として使用できる調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費[旧文通費])が、歳費とは別に支給されます。この旧文通費は、1993年から月100万円が支給されるようになっています。議員個人に、月2回に分けて、支払われます。
旧文通費は、その名の通り文書(資料代)や通信費、交通費、滞在費(宿泊費)に充てがうお金です。一般の会社員なら経費ということになりますが、企業なら領収書を添付して経理担当者に渡して精算します。