これを見ると、立憲民主党と社会民主党は別々の政党ですが、参議院では連帯する同志といえます。なぜ、違う政党に所属する議員が会派を組んでいるのかといいますと、少しでも院内での発言力を高めることが目的です。

衆議院でいえば、2024年9月19日時点で最大会派は自由民主党・無所属の会の258名、次いで立憲民主党・無所属の99名です。会派は衆・参両議院で別々に結成される国会を戦う連携組織といえますが、会派の成立要件として2人以上と定められています。

しかし、1人でも、所属する政党が政治資金規正法上の政治団体に該当する場合、会派として申請できます。たとえば、2024年6月、衆院議院運営委員会は、同年4月に自由民主党を離党した塩谷立議員が一人会派「未来政治経済研究会」を結成したことについて、与党の賛成多数で了承。月65万円の立法事務費が支給されることとなりました(※4)

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また、立法事務費は、使途の公開が義務付けされていないこともあり、何に使われているかは不明です。実質は、政党本部に入った後には、政策スタッフの人件費や調査経費ではなく、党の運営経費や所属議員への「もち代」などに充てられていることが指摘されてきました(※5)。また、会派のリーダーが立法事務費を独り占めにしたことで、会派所属の議員から不満が爆発し、それを理由に会派が分裂したこともあります。

※1 朝日新聞デジタル2024年4月26日「参院が市井紗耶香氏の議員辞職許可 在職わずか93分で戦後最短
※2 NHKニュースウェブ2023年11月17日「特別職の国家公務員の給与引き上げ 改正給与法が可決・成立」
※3 毎日新聞『政治プレミア』2021年12月6日「1日で100万円 常識外れの『とても受け取れない』文通費
※4 時事通信ニュース2024年6月21日「自民離党の塩谷氏が会派=月65万円支給、野党は反対」
※5 公益財団法人・日本生産性本部「政治倫理の確立と政治腐敗防止に関する緊急提言 ~国民と政治家との新たな契約~」

鮫島 浩(さめじま・ひろし)
ジャーナリスト
1994年京都大学を卒業し朝日新聞に入社。政治記者として菅直人、竹中平蔵、古賀誠、与謝野馨、町村信孝らを担当。政治部や特別報道部でデスクを歴任。数多くの調査報道を指揮し、福島原発の「手抜き除染」報道で新聞協会賞受賞。2021年5月に49歳で新聞社を退社し、ウェブメディア『SAMEJIMA TIMES』創刊。2022年5月、福島原発事故「吉田調書報道」取り消し事件で巨大新聞社中枢が崩壊する過程を克明に描いた『朝日新聞政治部』(講談社)を上梓。YouTubeで政治解説も配信している。
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