──グループは17枚のシングルを発表し、9年間の活動を経て解散を迎えました。

小湊 事務所には伝えていなかったのですが、一緒にやってきた仲間と、この1年間をやり切って終わりにしようって決めていたんです。それぞれが個人の活動も頑張りたい気持ちが強くなっていたのですが、グループが優先だから、ソロとしての仕事は断ることが多くて。だからこの1年間をグループの活動に徹して、それで今の状況と人気が変わらないのなら、もうそれぞれの道に行っていいんじゃないのかって話しました。

 私もみんなの気持ちを理解できたし、自分にこの道があっているのかずっと悩んでいた。だからこの1年だけは絶対頑張ろうって思ったんです。

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写真=野澤亘伸

 最後は事務所から解散ライブをしてもらえることになっていたのですが、その時期、コロナ禍になってしまった。結局解散ライブができずに文面だけで伝えることで終わってしまったんです。突然の報告だったからファンの間では「何があったんだろう?」って感じで、すごい心残りでした。

「エクセルも知らないの?」アイドルから会社員へ

──解散後は芸能活動を離れて会社員の道を選びました。

小湊 23歳のときで、ずっと迷っていました。自分は一人になったときに何がしたいのかを探して、解散前はいろいろなところに足を運び、たくさんのものを見るようにしていました。

 ソロとしての活動に興味はあったけれど、続けていける自信はなかった。それまで不安定な仕事だったので、正社員という雇用にも魅力を感じていました。

 どちらを選んでも大変なことはわかっていたので、フラットに考えてみようと思いました。すると、私は今まで人と比べてばかりで、自分の気持ちに従うことができていなかったことに気がついたんです。心が示す方を頑張ろうと思って、会社員として再出発する決断をしました。

写真=野澤亘伸

──就職活動はいかがでしたか?

小湊 簡単じゃなかったですね……。結局、採用してもらえるまで13社受けました。

 私の経歴を見て、「え?」ってリアクションが多かったんですよ。「そんなキラキラした世界にいた人には、うちの会社は向いていないですよ」とも言われました。ネガティブな反応が多くて、ああ、私の経歴はこういう捉え方をされるんだなって思いました。

 そんな中で「おもしろい」と言ってくれた会社があったんです。「9年間も人の前に立つ仕事をしてきたなんて、度胸があるね」って評価してくれて。面接官の方の価値観は人それぞれだなって感じましたね。

──初めての会社員生活はどうでしたか?