——福井氏は取締役相談役から会長に返り咲いている。
「まぁ異例ですよ。とにかく日枝さんは優れた経営者。なかなか36年もできません」
トラブル把握後も中居への調査をしなかった
だが、カンテレには1つの火種が燻っている。同社の大多亮社長は、X子さんと中居のトラブルが発生した当時、フジの専務取締役という要職にあった。
事件後、大多氏は程なくして編成局長からトラブルの一部始終を聞かされるが、中居への調査を実施しなかったのだ。
「大多氏は、フジの専務になる前は日枝邸に日参し、ゴマをすり、重役の会議では日枝氏の隣に座ってボケたり突っ込んだりして太鼓持ちに徹していた。彼は今回の事態を招いた“戦犯”の1人ですが、本人に危機感はなく1月6日の仕事始めでは社員に『大切なのは高揚感だ!』と演説していました」(カンテレ関係者)
「どうやって彼を辞めさせるか」
そんな大多氏に対し、フジ社内では辞任論が渦巻いている。
「大多氏はカンテレというフジの人事権が及ばない役職にある。フジの上層部では『どうやって彼を辞めさせるか』という議論もされています」(フジ社員)
福井氏に対し、大多氏の責任論について尋ねた。
——社長を続けていることへの批判は?
「僕のところには直接ないですね。委員会でやっているわけですから憶測で物を言う話ではないよ、と。結論が出るまで粛々と待つしかないでしょう」
フジに対し、中居へのヒアリングの詳細や、遠藤副会長が会見で語った「同意」の根拠などを質問すると、
「第三者委員会で調査中なので、回答は控えます」とのことだった。
中居がフジの聞き取りに対して語った主張について犬塚弁護士に質問状を送ると、次のように回答した。
「守秘義務の対象となるものであり、プライベートなやりとりに関するものでもあり、回答いたしかねます。ただ、記載されている(交際を確認する)ようなやり取りはございません」
◇◇◇
4月1日、被害を受けた女性は弁護士を通じて、「第三者委員会の調査報告書が公表されてその見解が示され、ほっとしたというのが正直な気持ちです」「私が受けた被害は一生消えることはなく、失ったものが戻ってくることはありません」などとコメントを公表した。被害者の悲痛な叫び、第三者委員会が斬り込んだ“組織の闇”に、当事者たちはどう応えるのか。
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